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邦画大作に増える“前後編2部作”は成功しているのか?

 昨年大ヒットした『るろうに剣心』、昨年から今年にかけて公開される『寄生獣』、今年の話題作『進撃の巨人』『ソロモンの偽証』。これらの邦画大作はすべて前後編の2部作で公開される。ここ数年でみると、『SP』『SPEC』『のだめカンタービレ』といったドラマの映画化作品から、『僕等がいた』や上述の4作など人気漫画、小説の実写化作品まで、大作の多くが前後編になっている。しかし、その興収に目を向けると、後編で物語が完結するにも関わらず、後編が前編を下回ってしまっているのが現状だ。

◆過去作品の前編&後編の興収を比較すると

 2015年の日本映画のなかで最大の話題作といえば、8、9月に2部作で公開される『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』だろう。諌山創の人気コミックを『日本沈没』の樋口真嗣監督が実写化。突如現れた“超大型巨人”の侵攻で、人類が滅亡の危機に陥るダークファンタジーに、三浦春馬、長谷川博己、水原希子ら実力派俳優たちが挑む。また、3月7日、4月11日に公開される『ソロモンの偽証』も、注目を集めている。ベストセラー作家・宮部みゆきの長編小説を、オーディションで選ばれた主人公の中学生たちとタッグを組んで、『八日目の蝉』の成島出監督が手腕を発揮する。

 ここ最近の話題作、大作はいずれも前後編の2部作が多い。4月25日から公開される『寄生獣 完結編』も、前編が昨年11月に公開された2部作の後編。昨年、実写日本映画で破格のヒットとなった『るろうに剣心』も2部作だった。公開時に、幅広い業種とのタイアップのほか、テレビや新聞などマスメディアを巻き込み、大々的なプロモーションを放つ大型作品に、とくに2部作が多い傾向がある。

 その興収を見てみると、前述の『るろ剣』の場合、前編『京都大火編』の興行収入は52.1億円、後編の『伝説の最期編』は43.3億円。2013年の『劇場版 SPEC〜結〜』は前編が27.5億円、後編は20.6億円。2012年の『僕等がいた』は前編が25.2億円、後編が17.2億円。2010年の『のだめカンタービレ 最終楽章』は前編が41億円、後編が37.2億円。『SP』は前編が36.3億円、後編が33.3億円。

◆観客とっての2部作にする理由が存在するか

 後編で話が完結するにも関わらず、前編から後編で数字が下がってしまうのは、作品ファン以外の一般層をつなぎとめておくことができていないからだろう。そもそも2部作にするのは、製作側の商業的な都合による部分が大きい。映画ファンからすれば、上映時間が長くてもかまわないから1本で観たいと思うだろうし、物語の結末をその場で迎えられないことをよく思わない人も少なからずいるようだ。今の観客たちは、商業主義に偏った観客不在の作品のにおいを敏感に感じ取っている。観るものにとっての2部作にする理由がそこに存在する、真に内容のともなったものでなければ、冷めた目で客観的にエンターテインメントシーンを見る多くの一般層を2度も劇場に向かわせるのは難しい。

 『劇場版SPEC〜結〜』では、シリーズの最重要人物のひとり、野々宮光太郎係長の死という大きなトピックで前編が終わった。それを噛みしめ、約1ヶ月間喪に服した後に封切られた後編で、ドラマから続くシリーズ全体の大きな謎に迫っていくという、ファン心理を考慮した構成には、作品の世界観を存分に味わえたと満足する、熱狂的なファンの声が多かったことも印象深い。こうした後編へのフックをかませていた作品もある。同作は興行的に成功を収めているが、それでも後編で数字が下がってしまっているのは残念なところだ。

 過去には、後編で興収が伸びた日本映画も存在する。2006年6月、11月に公開された『デスノート』だ。最近では前編の約1ヶ月後に後編が封切られるスタイルが多いが、『寄生獣』は『デスノート』と同じく、5ヶ月という長いスパンが空いてから後編が公開される。この先、後編公開に向けての新たな宣伝展開が始まる『寄生獣』は、久々の『デスノート』的ヒットとなるか? そして、すでに話題沸騰中の大作『進撃の巨人』『ソロモンの偽証』が、2部作の新たなスタンダードを切り開くことができるのか? 強力な布陣だけに期待が募る。



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