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哀川翔が語る役者論「Vシネの帝王?それは結果論だよ。気付いたら100本超えてただけ」

 Vシネ創成期から多数の作品に出演し、気付けば主演作が100本以上、“Vシネマの帝王”として君臨する俳優・哀川翔。『東映Vシネマ』25周年を記念して製作された映画『25』の主演も務める哀川にインタビューを敢行。自身の俳優としてのスタンス、Vシネへの想いを真摯に語ってくれた。

■子どもの頃に観て揺さぶられたシーン、それを再び具現化したのがVシネマ

――1989年にスタートした『東映Vシネマ』ですが、“当事者”である哀川さんから見て、Vシネというムーブメントをどのように捉えていましたか?
【哀川】うーん。なんとなく“隙間”とうかね……。皆が見逃してきた、見落としてきた、忘れていたのが“Vシネ”だと思うんだよ。自分たちが子どもの頃に観て心を揺さぶられたシーンってあるじゃない?それをもう一度具現化したのがVシネマだったからさ。

――思春期の“衝動”ですか?
【哀川】そうそう。「昔はあったじゃん!!」っていう、置き忘れてきたモノをもう一度拾い上げたって感じだよね。

――なるほど。“忘れ物を取りに行く”というムーブメントだったんですねぇ。
【哀川】うん。そういう気持ちというか、気概でしたね。ただ、世間的には眼中になかっただろうね。ただ、段々と注目作がリリースされるごとに業界的な目はこっちに向いてきたよ。モノによっては劇場公開作品より良い成績出しちゃったりね。

――逆転現象が生まれていくワケですね。
【哀川】だから、お客さんの“観方”が変わった瞬間だったんだよ。劇場に足を運ぶよりもレンタルで借りて家で観るっていうね。

――新しい“需要と供給”の形が生まれた瞬間でもあった。
【哀川】そうだね。だから、観方は変わったけど、良い作品を作れば観てくれるんだなって。そこで細かいこと考えてもしょうがないというかさ……自分自身を信じるしかないよね。

――自分が納得いけばパッケージなんて関係ないと。
【哀川】そう!監督とか制作スタッフの作品に対する情熱があれば、俺ら役者も自然と乗っていくし。だから、Vシネがここまで認められたのは制作陣のおかげ。俺ら役者の功績じゃないんだよ。

■Vシネの帝王?それはあくまでも結果論だよ

――でも、役者陣の熱量もVシネが注目される要因になったと思いますよ。
【哀川】いやいや。俺らは呼ばれたから演じただけ。それがたまたま当たっただけで。たださ、「呼ばれたからには……」って気持ちは常に変わってないよ。

――やるべきことを精一杯やるだけと。で、気づいたら主演作100本を超える『Vシネの帝王』になっていたと。
【哀川】気がついたらそうなってただけでさ……まぁ、嬉しいことですよね。今からそこを目指そうにもなかなか難しいと思うし。まぁ、(Vシネ)立ち上げからいたからこその結果というだけであって……タイミングだよね(笑)。

――哀川さんのお話を伺っていると、「俺がVシネを支えてきた!!」みたいな発言が皆無なんですよね。そう言っても異論を唱える人もいないと思うんですけど(笑)。
【哀川】ないない!あくまで結果論ですよ(笑)。俺ら役者にとって撮影が終わった後に「またやろうね!」って言われるのが一番うれしいことであってさ。「コイツとは2度とやりたくねえ!」って思われたら、もう次は無いワケですよ。だから、いかに監督や制作陣に「またやろうね!」って言わせるかが俺らの勝負であってね。その積み重ねで、気付いたら(主演作)100本を突破していたというだけ。

■皆が「良い!」と言ってくれるなら、俺の意見なんてどうでもいい

――哀川さんのツイッターの発言を見ていて印象的だったのが、「頼まれたことだから一生懸命できる。自分のことなんかどうでもいいんだ」という発言でした。まさに頼まれたことを一生懸命やってきた25年だったんでしょうね。
【哀川】そうだね。「やれよ!」って命令されたワケでもなく、頭下げられて頼まれたことだから。それは自分のこと以上に何とかしないと!って気になるよね。自分自身のことなんかどうだっていいんだよ。それが“仕事”なんだよね。

――周囲の期待に応えることが“仕事”だと。
【哀川】皆が「良い!」と言ってくれるなら、俺の意見なんてどうでもいい。俺が「良い!」って思うようなことなら、それは“仕事”じゃないんだよ。

――そこに自我は介入しないんですね
【哀川】しないしない。どうでもいいよ(笑)。だって、撮影してるときだってさ、「オッケー!」ていうのは監督じゃない。だから、俺は撮り終わった後にチェックもしない(キッパリ)。

――徹底してますねぇ(笑)。
【哀川】その判断は俺じゃないもん。まぁ、とりあえず変な顔して鼻水たれてなけりゃいいじゃんって(笑)。

■Vシネの灯は消えないよ

――哀川さんほど“需要と供給”を常に念頭に置いている役者も珍しいですよね。
【哀川】俳優やってるとさ、自分自身が無くなるんじゃないか?って恐怖もあると思うんですよ。ただ逆に、やり続けることでその恐怖が解消されるんだよ。だから、俺には“充電”は必要ないよって。

――翔語録ですね!それって終わりがないってことですか?
【哀川】いや、終わりはあるよ。ただ、その終わりを決めるのは俺じゃなくて皆さんが決めること。必要とされなくなくなったら“終わり”なんだよ。自分じゃ“終わり”なんて分からないし、決められないよ。自分で分かるのは、せいぜい“腹が減った”と“お腹一杯”ぐらいだよ(笑)。

――今後も需要がある限り突き進むということですね。今回の映画『25』もあくまで通過点だと。
【哀川】報告だよね。毎年『26』、『27』、『28』って連発で行く?って(笑)。でも、それでいいと思うんだよ。そこに需要があればね。

――哀川さん的には何時でもOKだと。
【哀川】うん。俺なんかは物事を進めるときは、あらかじめ決め打ちで動くのよ。じゃないと間に合わない!急に思い立って動いたとしても遅いんだよね。それが音楽業界(※一世風靡 時代)だったのよ……それが俺の経験から基づく実感なんだよね。

――様々な経験をしてきた哀川さんならではの言葉ですね。最後に、哀川翔にとって“Vシネ”とは?をお聞かせください!
【哀川】……消えそうで消えないし、消えるはずがない!って思うよ。

――ぶっといロウソクなんでしょうねぇ。
【哀川】1回火がついちゃったら、消しようがない!!この火をどうしていくかは我々、もしくは若い世代の俳優やスタッフが考えていかなくちゃいけないけどね。でも、こういう気持ちを持ち続けていれば、いい方向に進んでいくもんだよ。



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