スクリーンの妖精と形容される英女優のオードリー・ヘプバーン唯一の未公開作となる映画『マイヤーリング』が今冬、全国の劇場で上演されることが30日、わかった。日本での公開は初となる。

　映画『マイヤーリング』は、ヘプバーン最愛の夫で米俳優・映画監督であったメル・ファーラー氏と新婚時に共演した作品であり、米NBCのブロードキャスト映画シリーズ「プロデューサーズ・ショーケース」の目玉企画として、1957年2月4日午後8時に全米で一度だけ放送された幻のテレビ映画。

　この放送以降、ヘプバーン主演映画としては、その名前だけが伝説化していたが、当時のテレビ録画技術キネスコープ・レコーディングで、保存されていたマスターをHDで復元化に成功。今年6月にドイツ・ミュンヘンにあるヘプバーン記念展でワールドプレミア上映が行われ、ヘプバーン没後20周年の今冬に日本で公開されることが決定した。

　監督は、同じ題材を使った1935年のフランス名画『うたかたの恋』をはじめ数々の名作のメガホンをとったアナトール・リトヴァク氏。衣装には『ジャンヌ・ダーク』（1948年）、『サムソンとデリラ』（1949年）、『イグアナの夜』（1964年）などでアカデミー賞を3度受賞したドロシー・ジーキンズ氏が担当するなど、豪華スタッフが結集。また当時のテレビショーはライブ放送だったため、シーンは生放送での演技となっている。

　同作の舞台は19世紀後半のオーストリア＝ハンガリー帝国。不幸な結婚生活に不満をつのらせた皇太子のルドルフ（メル・ファーラー）が男爵令嬢で17才のマリー（オードリー・ヘプバーン）と運命的な出会いを果たし恋に落ちる。立場が違う二人を引き裂くべく、さまざまな試練が次々と訪れるが、その困難に立ち向かっていく愛の物語。

　同作の公開日・劇場などの詳細は後日発表される。