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“エセ”半沢直樹にご用心!?〜『半沢直樹』の本質は“倍返しされる側”にある

 最終回が42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異の平均視聴率を叩き出し、文字通りの有終の美を飾った『半沢直樹』(TBS系)。これほどの社会現象を巻き起こした同作だけに、今後も様々な影響をもたらすことになる。視聴者が半沢直樹を“理想のサラリーマン”と羨望の眼差しで見るということは、世に“エセ”半沢直樹の増加をもたらすことにも繋がってくる。

 信念を曲げず、納得いかなければ上司にも牙を向く……一見、男らしいし、実際に劇中の半沢は素直にカッコイイ。だが、一般社会においてそんなサラリーマンがいたら、軋轢が生まれることは必至。劇中でも善悪の概念を脇に置いて考えれば、軋轢の狭間で様々な思惑が交差しているのが見て取れる。

 20代の若手や30代のミドルにとって、半沢直樹は“理想のサラリーマン”なのかもしれない。だが、経営者、管理職側の視点で見ると、とても扱いづらい社員にも映る。

■本質は“倍返しする側”ではなく“倍返しされる側”の末路を描いている

 『半沢直樹』公式HPに、同作の“ラスボス”大和田常務を演じる香川照之のインタビューが掲載されている。非常に興味深いコメントなのでここに記してみよう。「『やられたら倍返し』という言葉がヒットして独り歩きしていますけれど、『やったことは、やられ返される』という、やられる側からドラマを見て欲しいと思います。(中略)それがこの高視聴率がうまれているドラマの責任で、やる側が痛快なんじゃない、やられる側の理屈というものが絶対にあるんだということ、だからそういうことをしてはいけません」(香川)。

 「倍返し」することの痛快さばかり強調されているが、同作の本当の意図は、「倍返しされる」側にあるというのが香川の見解。悪い事をすれば必ず自分に返ってくる……だから不正はいけません! ということだ。今年の流行語大賞にノミネートされることが確実視されている同決め台詞だが、声高に、そして無秩序に「倍返しだ!!」と叫ぶことは、“倍返しされる”側に回る危険性が大いにあるということも肝に銘じなければならない。

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