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園子温監督、被災地の人々に贈りたい『地獄でなぜ悪い』

 『ヒミズ』でのヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞受賞(染谷将太、二階堂ふみ)に続き、最新作『地獄でなぜ悪い』(9月28日公開)がトロント国際映画祭のミッドナイトマッドネス部門で日本作品として初めて観客賞を受賞するなど、世界で高い評価を受ける園子温監督。20年前に書いた脚本をいま映画化した『地獄でなぜ悪い』には、東日本大震災の被災地の人々に楽しんでほしいという思いがあったことを明かした。

「次は、子どもたちに観せたい、かわいい映画を撮りたい」と語る園子温監督

「次は、子どもたちに観せたい、かわいい映画を撮りたい」と語る園子温監督

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 同作は、園流の深く熱い映画愛が根底をつらぬきながらも、描かれるのは、映画好きの青年とヤクザの親子が繰り広げるバイオレンスと激しいアクション、そして笑いがあふれるエンターテインメント作品。クライマックスの血しぶきが飛び散る壮絶なアクションシーンは、観る者を強烈な引力で魅了し、とてつもないエネルギーで圧倒しながら、ラストの展開では不思議な安堵感、解放感につつまれ、気がつくと温かい気持ちにさせられる。

 前々作『ヒミズ』、前作『希望の国』と3.11以降、震災に触れる映画を連作で撮っていた園監督だが、今作ではその2作とはまったくテイストの異なる作風で、被災地に触れることはなく、バイオレンスを正面から描いている。しかし、そんな今作も被災地の人々への思いからスタートしていた。「(『希望の国』を)被災地で上映すると、被災地の人たちは『映画を作ってくれてありがとう』とは言ってくれるんだけど、どこか悲しそうな表情をしていたんです。そのとき、次に撮る映画は、明るくて楽しくて、何にも考えなくていい、コーラやビールの似合うポップコーン・ムービーを作ろうって。そんな気持ちから始まった映画です。頭を空っぽにして、大音量と大スクリーンで映画を観た後は“楽しかったね!じゃあ飯でも食うか!!”って、そういう映画を作りたかった」。

 そんな思いから始まった今作の主人公の(長谷川博己演じる)映画青年は、かつての園監督自身の分身という。それゆえに個人的な想いの強い作品でもある。「俺はいい映画を撮って死にたいんだって、あの頃は本気で思っていましたから。あと、星野源くんが演じた、ひどい勘違いから映画監督に祭り上げられてしまう公次もまた、僕の分身なんです。昔、組長の娘と知らずに手を出しちゃって、殺されかけた僕の実体験を盛り込みました。ま、星野くんほどにはビビってなかったけどね(笑)」。

 強烈な個性のなかに力強いメッセージを発信し続ける園監督。次なる作品がどちらに向かうのか気になるところだが、意外なコメントを残してくれた。「2年前に結婚した女房(女優の神楽坂恵さん)が、花を生けるとか、傍から見るとちっともおもしろくなさそうなことが好きなひとなんですよ。20年前はたしかに“地獄でなぜ悪い”と思っていたけれど、今はもう“天国でなぜ悪い”って思っています。女房と一緒にお花畑に花でも植えて、合掌でもしてればいいやって。僕の場合、私生活がストレートに作品に影響するので、最近は子どもたちに観せたい、かわいい映画を撮りたいなあなんて。楽しみにしていてください(笑)」。

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