瑛太&松田龍平演じる“便利屋コンビ”が人気を集めた映画『まほろ駅前多田便利軒』の続編が、“ドラマ24”に『まほろ駅前番外地』(TX系)として登場。脚本・演出を手がけるのは、同枠でドラマ『モテキ』を手がけ、劇場版も大ヒットさせた大根仁氏。脚本と演出を兼任するというテレビドラマでは珍しいスタイルを取る大根氏は、すでに映画で作られた世界観をどう料理するのか。
■「バカバカしくも面白い、ふざけ合っている男同士にBLを感じた」
三浦しをんの直木賞受賞作を、瑛太&松田龍平出演で映画化した『まほろ駅前多田便利軒』。その続編としてドラマ化されるのが、『まほろ駅前番外地』だ。町田市をモデルにした郊外の街で、便利屋コンビ・多田(瑛太)と行天(松田)が事件に遭遇する、ポップでどこか脱力感が漂う物語。脚本・演出の大根氏は、そんなドラマの世界観を作る上で、過去の探偵ものの名作をイメージした。
「こういう探偵ものの要素がある作品ですと、僕の世代はやはり『傷だらけの天使』や『探偵物語』のような作品を連想するので、ああいった作品を今の時代に合う形で作れたらと思いました。瑛太と松田龍平はどう撮ってもカッコよくなるし、ある種のおかしみや、どこかつまらなさそうな感じも表現できる2人。原作も、基本的な設定さえしっかり守れば、いかようにも広げられる素材なので、これならかつての探偵もののような作品を、今の時代らしく作れるのではと思いました」
大根氏が原作で描かれている多田と行天に感じたのは、「女性作家ならではのBL(ボーイズ・ラブ)感」。その「男同士がきゃっきゃしているのが、バカバカしくもかわいくて面白い」という感覚が、このバディを描く上での軸となっている。また「週末の深夜に気楽に見られること」を意識し、原作にないオリジナルエピソードを大胆に盛り込んだことで、映画よりもコミカルな仕上がりに。
「原作のおいしい部分はほぼ映画で使われていたので、逆に原作や映画の世界観と違うパラレルなものを作ろうと思いました。映画での多田と行天のベーシックな部分は変えていませんが、深夜枠向けにちょっと軽くしてふざけたかったので、映画や原作で描かれた2人の重い過去はあまり出しません。過去をことさら表に出さずに、ズシンと何か抱えている感じにできればと思っています」
その言葉通り、第1話から、瑛太と松田がプロレスラーの扮装で登場するなど遊び心のある展開。一方で、「過剰なコントには走らない」「楽しいだけでは終わらない」という、絶妙なバランス感覚が光っている。
「ドラマでは、楽しいだけではなくて、ちょっと切なかったり、悲しかったりする感じも出したかったんです。喜怒哀楽ではおさまりきらない感情を表現して、毎回のエピソードが終わった後も明確なエンディングがないというか、よかったのか悪かったのかわからないというか…そんな空気を感じる作りにしたいと思っています」
■フラカン独特の“負け犬感”と作品の世界観が一致
どこか切ない空気を引き立てるのが、70〜80年代を思わせる叙情的な音楽。『モテキ』でも音楽にこだわり抜いた大根氏は、主題歌をフラワーカンパニーズ、劇中音楽とED曲を坂本慎太郎に託した。
「フラカンはメンバーチェンジもせず長くやっている存在感と、独特の“負け犬感”が、作品の世界観に合うなと。坂本さんは、ゆらゆら帝国の頃から面白い音作りをする方で、ぜひドラマや映画の劇中音楽を作ってみてほしいと思っていたんです」
音楽まで徹底された作品の世界観は、オープニングとエンディングの映像でも貫かれている。
「オープニングは、“あらかじめ決められた恋人たちへ”という池永正二によるグループの「back」のミュージックビデオ(MV)からイメージしたので、パクりにならないよう(笑)、MVを撮った柴田剛監督にお願いしました。街を歩く2 人の周りで、逆再生のように人々が歩いている映像は、まるで世間の流れに背中を向けて歩いているようで“まほろ”に合っているなと。エンディングは、物語のラストが明確ではない分、この曲さえかかれば終わりだと感じられる“点”を作りたいと、坂本さんと話したことで生まれました。昔『オレたちひょうきん族』のラストでかかったEPOさんの曲のような、週末の物悲しさと、少しだけ前向きになれる感じが出ればと思っています」
原作・映画ともひと味違う魅力を放つ、新たなバディストーリーの名作が誕生する予感だ。(オリジナル コンフィデンスより)
■「バカバカしくも面白い、ふざけ合っている男同士にBLを感じた」
三浦しをんの直木賞受賞作を、瑛太&松田龍平出演で映画化した『まほろ駅前多田便利軒』。その続編としてドラマ化されるのが、『まほろ駅前番外地』だ。町田市をモデルにした郊外の街で、便利屋コンビ・多田(瑛太)と行天(松田)が事件に遭遇する、ポップでどこか脱力感が漂う物語。脚本・演出の大根氏は、そんなドラマの世界観を作る上で、過去の探偵ものの名作をイメージした。
「こういう探偵ものの要素がある作品ですと、僕の世代はやはり『傷だらけの天使』や『探偵物語』のような作品を連想するので、ああいった作品を今の時代に合う形で作れたらと思いました。瑛太と松田龍平はどう撮ってもカッコよくなるし、ある種のおかしみや、どこかつまらなさそうな感じも表現できる2人。原作も、基本的な設定さえしっかり守れば、いかようにも広げられる素材なので、これならかつての探偵もののような作品を、今の時代らしく作れるのではと思いました」
大根氏が原作で描かれている多田と行天に感じたのは、「女性作家ならではのBL(ボーイズ・ラブ)感」。その「男同士がきゃっきゃしているのが、バカバカしくもかわいくて面白い」という感覚が、このバディを描く上での軸となっている。また「週末の深夜に気楽に見られること」を意識し、原作にないオリジナルエピソードを大胆に盛り込んだことで、映画よりもコミカルな仕上がりに。
「原作のおいしい部分はほぼ映画で使われていたので、逆に原作や映画の世界観と違うパラレルなものを作ろうと思いました。映画での多田と行天のベーシックな部分は変えていませんが、深夜枠向けにちょっと軽くしてふざけたかったので、映画や原作で描かれた2人の重い過去はあまり出しません。過去をことさら表に出さずに、ズシンと何か抱えている感じにできればと思っています」
その言葉通り、第1話から、瑛太と松田がプロレスラーの扮装で登場するなど遊び心のある展開。一方で、「過剰なコントには走らない」「楽しいだけでは終わらない」という、絶妙なバランス感覚が光っている。
「ドラマでは、楽しいだけではなくて、ちょっと切なかったり、悲しかったりする感じも出したかったんです。喜怒哀楽ではおさまりきらない感情を表現して、毎回のエピソードが終わった後も明確なエンディングがないというか、よかったのか悪かったのかわからないというか…そんな空気を感じる作りにしたいと思っています」
■フラカン独特の“負け犬感”と作品の世界観が一致
どこか切ない空気を引き立てるのが、70〜80年代を思わせる叙情的な音楽。『モテキ』でも音楽にこだわり抜いた大根氏は、主題歌をフラワーカンパニーズ、劇中音楽とED曲を坂本慎太郎に託した。
「フラカンはメンバーチェンジもせず長くやっている存在感と、独特の“負け犬感”が、作品の世界観に合うなと。坂本さんは、ゆらゆら帝国の頃から面白い音作りをする方で、ぜひドラマや映画の劇中音楽を作ってみてほしいと思っていたんです」
音楽まで徹底された作品の世界観は、オープニングとエンディングの映像でも貫かれている。
「オープニングは、“あらかじめ決められた恋人たちへ”という池永正二によるグループの「back」のミュージックビデオ(MV)からイメージしたので、パクりにならないよう(笑)、MVを撮った柴田剛監督にお願いしました。街を歩く2 人の周りで、逆再生のように人々が歩いている映像は、まるで世間の流れに背中を向けて歩いているようで“まほろ”に合っているなと。エンディングは、物語のラストが明確ではない分、この曲さえかかれば終わりだと感じられる“点”を作りたいと、坂本さんと話したことで生まれました。昔『オレたちひょうきん族』のラストでかかったEPOさんの曲のような、週末の物悲しさと、少しだけ前向きになれる感じが出ればと思っています」
原作・映画ともひと味違う魅力を放つ、新たなバディストーリーの名作が誕生する予感だ。(オリジナル コンフィデンスより)
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2012/12/24