俳優・田村正和と女優・仲間由紀恵がテレビ朝日系のドラマスペシャル『上意討ち〜拝領妻始末』に義理の親子（舅と嫁）役で共演することが19日、わかった。某発泡アルコール飲料のCMキャラクターでお馴染みの2人だが、テレビドラマで共演するのは今回が初。仲間は「実はとても緊張していました。でも、田村さんはそこにいらっしゃるだけで、作品の空気を作ってくださる方なので、毎日楽しく撮影させていただいています」と気合十分だ。

【写真】その他の写真を見る

　同作は、時代小説家・滝口康彦氏の『拝領妻始末』が原作。『羅生門』『七人の侍』などの黒澤作品をはじめ、日本映画界に偉大な足跡を残してきた脚本家・橋本忍氏が、1967年に三船敏郎主演、小林正樹監督で映画化された自らの脚本に、新たに手を入れてリメーク。演出は15日に放送された『松本清張没後20年 ドラマスペシャル 十万分の一の偶然』でも田村と組んだ藤田明二監督が担当する。

　舞台は江戸時代。身分の上の者から下の者に対する命令は“絶対”である封建社会の中で、家族の“愛”のために命を懸けて上意に反旗を翻した家族の物語。主人公・笹原伊三郎（田村）の息子・与五郎（緒形直人）は、藩命により藩主の側室だったお市の方＝いち（仲間）を拝領妻として迎える。実際に嫁いできたいちは、心やさしく、気立てのよい女で、与五郎とも仲むつまじい夫婦となる。ところが、世継ぎの問題が起こり、今度は拝領妻の返上の命令が下る。伊三郎親子といちは、人の心を無視した理不尽なやり方に怒りを爆発させ、壮絶な闘いを始める。

　田村は「三船敏郎さんが映画で演じた伊三郎は、見るからに“剣豪”といった感じの男らしい人物だが、私は、普段は奥さんの尻に敷かれている、心やさしい善良な“いいおじちゃん”という印象で伊三郎を演じています」。殺陣のシーンも見どころで「僕がこれまでやってきた殺陣は『眠狂四郎』に代表されるように、流れるような、いわば“流麗”な、というか、全くリアリティのないものだったが、今回は、一太刀一太刀に伊三郎の怒りを込めた討ち合いにしたい」と、意気込みを語っている。

　仲間も田村の芝居から感じるものは多く、「田村さん演じる伊三郎は愛情深く、家族思いのやさしい方。まるで伊三郎さんの愛に包まれながらお芝居をしているような気持ちになって、伊三郎さんが『辛抱しろよ』『負けるなよ』と、声をかけてくださるシーンでは、その言葉が胸に響いて涙が止まらなくなりました」と話した。

　ほかに、梶芽衣子、石黒英雄、北村有起哉、大杉漣、藤真利子、田畑智子、笹野高史、津川雅彦、橋爪功らが出演。映画版で仲代達矢が演じた伊三郎の友人・浅野帯刀は『暴れん坊将軍』シリーズ（同局系）の松平健が演じる。かつて三船と仲代が繰り広げた一対一の決闘シーンが、田村と松平によって現代によみがえるのも楽しみだ。

　テレビ朝日開局55周年記念ドラマスペシャル『上意討ち〜拝領妻始末』は2013年春、放送予定。