大阪の街を舞台に繰り広げられる金塊強奪作戦を描いた『黄金を抱いて翔べ』が公開中の井筒和幸監督と俳優・桐谷健太がORICON STYLEで対談。これからの日本映画を担う俳優の一人となった桐谷を前に、漫画の実写化が相次ぐ日本映画界に警鐘を鳴らし、映画作りに欠かせない“リアルな整合性の重み”を語った。
新作『黄金〜』は男に生まれてきたからこそ、何があろうと大きな野望を抱かえた6人が金塊強奪に挑む犯罪劇。“井筒ワールド”全開の内容といえるが、今の日本映画において70年代のアメリカンニューシネマを彷彿とさせる犯罪映画は異色ともいえる。
■整合性を欠いた実写化に苦言「漫画はストーリーボードではない」
出演者のなかで一番初めに試写を鑑賞し、最後は拍手をしながらエンドロールを観たという桐谷は、本作について「ほんまにどっしりして“めっちゃ格好ええな”って思いました。他にはない“井筒さんにしかできへん”作品でありながら、井筒監督というクレジットを度外視しても、確固たる格好よさがありました」と感服の様子。
それを聞いた井筒監督は、昨今の邦画の傾向を振り返り「最近の映画は漫画の原作ばっかりになってしまったからね…。どうなのかな?って。作り手としては『何でこうなってしまってん?』という思いがあるよね」と胸の内を吐露。
「漫画原作が多いけど、漫画はストーリーボートじゃないんです。1コマ目から次のコマへ行間を持たせることもある。それは『漫画文化』として成立し、そこが読者を楽しませるポイントでもある」と漫画の特性を分析。それでも「だけど、それを映画で実写化したときに、映画としての作り込みもせずに作品を完成させている」と、安易な漫画の実写化に苦言を呈す。
さらに、話は制作側にも及び「作品の中での整合性を求め出したら無理があるのに、『そこは考えんといて』という制作側の意図が見える。リアリティと整合性がないのに映画を見続けるなんて感覚を僕は共感できない。理詰めでやればいいという事ではなく、1シーンごとに何にも勝るリアルを作り出すことは必須条件なんだよ」とまくし立てた。
これまで黙って耳を傾けていた桐谷は「確かに」と強く同意。「僕は(劇中で)トラックが横転するシーンがあるんです。そのときに体の動きがどう動くのか? 実際にトラックでの横転を体験できない分、ものすごく話して意見を出し合いました」と、リアルに描くことの大切さを強調していた。
■井筒監督がフィルム・ノワールにこだわる理由
桐谷は、井筒監督の現場を“粒子が細かい”と表現。「重さ50キロのカバンを持ち上げるなら、体のどこに力が入って、どの筋肉が動くのかを徹底的に考える。どんなシーンも緻密に想定して、リアリティを持って撮影する」と力説。「その環境で仕事ができることは、役者としてホンマに幸せです」と監督に感謝した。
井筒監督は、桐谷の言葉を受け止め「どこまでいっても映画は享楽物。観客を退屈させないように、驚かせる、ワクワクさせる、釘付けにする! 難しい事を語るんじゃなくて、間を繋ぐことが『エンターテインメント』の原点だ」と熱弁。
犯罪をモチーフにした作品を描いた理由についても触れ、「最近の映画しか観ていない人は、心臓バクバクさせながら、でも切なさに心がうずくような犯罪映画にまだ出会ったことがないんじゃないかな。だからこそ知って欲しいと思うし、僕は映画を撮り続けるんだよね」と、フィルム・ノワールの魅力を明かした。
ミステリー作家・高村薫のデビュー作を井筒監督が実写化し、桐谷のほか妻夫木聡、浅野忠信、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行ら6人が銀行の地下に眠る巨額の金塊強奪をたくらむ映画『黄金を抱いて翔べ』は全国公開中。
妻夫木が語る役者論『表現者としての今の在り方』
映画『黄金を抱いて翔べ』
新作『黄金〜』は男に生まれてきたからこそ、何があろうと大きな野望を抱かえた6人が金塊強奪に挑む犯罪劇。“井筒ワールド”全開の内容といえるが、今の日本映画において70年代のアメリカンニューシネマを彷彿とさせる犯罪映画は異色ともいえる。
■整合性を欠いた実写化に苦言「漫画はストーリーボードではない」
出演者のなかで一番初めに試写を鑑賞し、最後は拍手をしながらエンドロールを観たという桐谷は、本作について「ほんまにどっしりして“めっちゃ格好ええな”って思いました。他にはない“井筒さんにしかできへん”作品でありながら、井筒監督というクレジットを度外視しても、確固たる格好よさがありました」と感服の様子。
それを聞いた井筒監督は、昨今の邦画の傾向を振り返り「最近の映画は漫画の原作ばっかりになってしまったからね…。どうなのかな?って。作り手としては『何でこうなってしまってん?』という思いがあるよね」と胸の内を吐露。
「漫画原作が多いけど、漫画はストーリーボートじゃないんです。1コマ目から次のコマへ行間を持たせることもある。それは『漫画文化』として成立し、そこが読者を楽しませるポイントでもある」と漫画の特性を分析。それでも「だけど、それを映画で実写化したときに、映画としての作り込みもせずに作品を完成させている」と、安易な漫画の実写化に苦言を呈す。
さらに、話は制作側にも及び「作品の中での整合性を求め出したら無理があるのに、『そこは考えんといて』という制作側の意図が見える。リアリティと整合性がないのに映画を見続けるなんて感覚を僕は共感できない。理詰めでやればいいという事ではなく、1シーンごとに何にも勝るリアルを作り出すことは必須条件なんだよ」とまくし立てた。
これまで黙って耳を傾けていた桐谷は「確かに」と強く同意。「僕は(劇中で)トラックが横転するシーンがあるんです。そのときに体の動きがどう動くのか? 実際にトラックでの横転を体験できない分、ものすごく話して意見を出し合いました」と、リアルに描くことの大切さを強調していた。
■井筒監督がフィルム・ノワールにこだわる理由
桐谷は、井筒監督の現場を“粒子が細かい”と表現。「重さ50キロのカバンを持ち上げるなら、体のどこに力が入って、どの筋肉が動くのかを徹底的に考える。どんなシーンも緻密に想定して、リアリティを持って撮影する」と力説。「その環境で仕事ができることは、役者としてホンマに幸せです」と監督に感謝した。
井筒監督は、桐谷の言葉を受け止め「どこまでいっても映画は享楽物。観客を退屈させないように、驚かせる、ワクワクさせる、釘付けにする! 難しい事を語るんじゃなくて、間を繋ぐことが『エンターテインメント』の原点だ」と熱弁。
犯罪をモチーフにした作品を描いた理由についても触れ、「最近の映画しか観ていない人は、心臓バクバクさせながら、でも切なさに心がうずくような犯罪映画にまだ出会ったことがないんじゃないかな。だからこそ知って欲しいと思うし、僕は映画を撮り続けるんだよね」と、フィルム・ノワールの魅力を明かした。
ミステリー作家・高村薫のデビュー作を井筒監督が実写化し、桐谷のほか妻夫木聡、浅野忠信、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行ら6人が銀行の地下に眠る巨額の金塊強奪をたくらむ映画『黄金を抱いて翔べ』は全国公開中。
妻夫木が語る役者論『表現者としての今の在り方』
映画『黄金を抱いて翔べ』
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2012/11/11