映画興行が大きく落ち込んだ昨年の余波を引きずった12年上半期の興行収入は、ほぼ前年と変わらない前年比101%(※興行通信社調べ)で推移した。日本映画では『テルマエ・ロマエ』が56億円、洋画では『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』が53億円を稼ぎ出して(2012年6月末現在)、興行をけん引したかたちだが、ここで注目したいのはシニア層の動向がヒットを大きく左右する事実である。その好例が『テルマエ・ロマエ』だ。
「最初は原作を支持する層を軸に考えましたが、公開後はシニア世代にまで観客層が広がりました。去年から“笑える”作品を支持する傾向があり、上手くその流れに乗ることができました。題名が馴染みがなくても内容を説明しやすいことも奏功しました。年に1度程度にしか映画を観ない高年齢ライト層が集まりました」(東宝 映像本部宣伝部 映像宣伝企画室プロデューサー 上田美和子氏)
TVドラマからの人気シリーズの劇場版でもない作品が上半期トップの座を獲得できたのも、何度も聞くうちに引っかかるタイトルと、説明しやすい内容に負うところが大きい。これはシニア層狙いばかりではなく、昨今のヒット作の条件だろう。
洋画の『ミッション・インポッシブル〜』も同様だ。もともとTVシリーズから派生した人気アクション・シリーズであること、なにより、50歳を迎えた主演のトム・クルーズは、長年、スターの座に君臨。当然、シニア層にも、その名は浸透している。この他にも同層に支持された作品は『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』や『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』など、内容そのものの認知度が高い作品が強かった。
■キャストやストーリーのわかりやすさが訴求
夏の興行以降を見ても、殺陣の凄まじさが話題になった『るろうに剣心』は、若年層に人気のコミックが原作ながら、時代劇ファンの支持も集め、スマッシュヒットしている。また、シニア層をターゲットにした作品による10億円超えが多いのも本年の特長。『聯合艦隊司令長官山本五十六』や、文芸映画の香りを漂わした『源氏物語 千年の謎』はそれぞれ15億円の興行収入を上げたが、いちばん端的な作品といえば12億円の興行収入を記録した『わが母の記』。井上靖の小説の映画化で、主演が役所広司に樹木希林という顔ぶれで、老い、介護、親子の確執という、シニア世代に切実な題材を描き出した。さらに、この流れは興行収入20億円を突破した(9月末現在)高倉健主演の『あなたへ』に引き継がれている。
今後の日本映画に目を向けると、尊厳死を扱った周防正行監督の『終の信託』や、吉永小百合主演作『北のカナリアたち』、山田洋次監督最新作『東京家族』など、大人の鑑賞に堪える作品が並ぶ。
団塊の世代を核にするシニア層は、実はコミックやアニメーションにも慣れ親しんでおり、新作にも好奇心旺盛。さらに、映画館に通う喜びも知っていて、きっちりと作品の面白ささえ浸透すれば、確実に劇場に足を運ぶ。映画業界がこの層を掴むためには、なにより彼らに公開情報を届けられるメディアを見出し、分かりやすく作品の訴求を行うことだ。
日本の人口分布が高齢化に突き進むなか、比較的豊かなシニア層にアピールすることが経済を活性化する。これは映像業界も例外ではない。
「最初は原作を支持する層を軸に考えましたが、公開後はシニア世代にまで観客層が広がりました。去年から“笑える”作品を支持する傾向があり、上手くその流れに乗ることができました。題名が馴染みがなくても内容を説明しやすいことも奏功しました。年に1度程度にしか映画を観ない高年齢ライト層が集まりました」(東宝 映像本部宣伝部 映像宣伝企画室プロデューサー 上田美和子氏)
洋画の『ミッション・インポッシブル〜』も同様だ。もともとTVシリーズから派生した人気アクション・シリーズであること、なにより、50歳を迎えた主演のトム・クルーズは、長年、スターの座に君臨。当然、シニア層にも、その名は浸透している。この他にも同層に支持された作品は『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』や『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』など、内容そのものの認知度が高い作品が強かった。
■キャストやストーリーのわかりやすさが訴求
夏の興行以降を見ても、殺陣の凄まじさが話題になった『るろうに剣心』は、若年層に人気のコミックが原作ながら、時代劇ファンの支持も集め、スマッシュヒットしている。また、シニア層をターゲットにした作品による10億円超えが多いのも本年の特長。『聯合艦隊司令長官山本五十六』や、文芸映画の香りを漂わした『源氏物語 千年の謎』はそれぞれ15億円の興行収入を上げたが、いちばん端的な作品といえば12億円の興行収入を記録した『わが母の記』。井上靖の小説の映画化で、主演が役所広司に樹木希林という顔ぶれで、老い、介護、親子の確執という、シニア世代に切実な題材を描き出した。さらに、この流れは興行収入20億円を突破した(9月末現在)高倉健主演の『あなたへ』に引き継がれている。
今後の日本映画に目を向けると、尊厳死を扱った周防正行監督の『終の信託』や、吉永小百合主演作『北のカナリアたち』、山田洋次監督最新作『東京家族』など、大人の鑑賞に堪える作品が並ぶ。
団塊の世代を核にするシニア層は、実はコミックやアニメーションにも慣れ親しんでおり、新作にも好奇心旺盛。さらに、映画館に通う喜びも知っていて、きっちりと作品の面白ささえ浸透すれば、確実に劇場に足を運ぶ。映画業界がこの層を掴むためには、なにより彼らに公開情報を届けられるメディアを見出し、分かりやすく作品の訴求を行うことだ。
日本の人口分布が高齢化に突き進むなか、比較的豊かなシニア層にアピールすることが経済を活性化する。これは映像業界も例外ではない。
2012/10/20