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荻原浩、座敷わらしがもたらす幸せは“自分”で掴み取ったもの

 東北地方に伝承される“座敷わらし”を題材に、岩手の田舎町に転居してきた家族の再生を描いた映画『HOME 愛しの座敷わらし』(4月28日公開)。同作の公開を記念して原作者の荻原浩氏に話を聞いた。

映画『HOME 愛しの座敷わらし』の原作者・荻原浩氏 (C)ORICON DD inc.

映画『HOME 愛しの座敷わらし』の原作者・荻原浩氏 (C)ORICON DD inc.

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 これまでにも『明日の記憶』や『四度目の氷河期』など家族の物語を描いてきた荻原氏。初の新聞連載に挑戦した同作でも、描きたかったのは家族の物語だった。「何か上手くいっていない家族に、何か一石を投じたい。その投じる石は何がいいんだろう?」と、ストーリーを考え始めた段階で登場したのが、物語の核となる“座敷わらし”だった。

 荻原氏にとって座敷わらしは、古くから気になる存在としてあったようだ。「僕が、小説を書き始めたばかりの頃に座敷わらしのことを短編で書いたことがあって。その時に『もうちょっと書きたいな』という気持ちがあったんです」と語る。その座敷わらしによって人生の転機を迎えるのが、父・晃一の転勤で岩手県の田舎町へと引越してきた高橋家。

 それぞれに問題を抱える彼らは、座敷わらしと出会うことで物事の考え方や捉え方が次第に変化していく。「高橋家の人たちは座敷わらしによって一家が幸せに導かれたと思っているけど、本当はその幸せを“自分たちで掴み取っている”、そういう話にしたかったんです」と荻原氏は優しく語る。

 映画の中で高橋家の主・晃一を演じるのは、俳優の水谷豊。荻原氏にとって水谷は、人気ドラマ『相棒』のイメージが強く、彼が平凡なサラリーマンを演じることに最初は違和感もあったという。しかし、完成した作品を観て「やっぱり俳優さんは凄いですね」と一言。「どの世界でも“プロ”と呼ばれる人たちは違うということを改めて感じました」と感心至極のようだ。

 物語を書く時は「磨いて、磨いて、磨いたものじゃないと出しちゃいけないんじゃないかと思っています」と語る荻原氏。それだけ愛情を注いだ作品だけに、映像化などで手放す時は「あんまりこの子をいじらんといて」と感じるという。今作については、「脚本を読ませていただいた時点から、物語の根っこの部分がすごく繋がっていると感じました」とホッとしたような表情を見せていた。

 実際、出来上がった作品についても「原作者が言うのは何ですが・・・」と恐縮しながら、「いい映画だったと思います」と笑顔。「ストーリーは知っているつもりなのですが、『この先どうなるんだろう?』と、ドキドキ、ハラハラさせられました」と物語の世界に引き込まれてしまったようだ。

 原作者までも楽しませてしまう同作品。映像化の都合上、小説とイコールではない部分もあるが、それを踏まえたうえで両方を比べてみるのも楽しいかもしれない。

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  • 映画『HOME 愛しの座敷わらし』の原作者・荻原浩氏 (C)ORICON DD inc.
  • 映画『HOME 愛しの座敷わらし』より (C)2012「HOME 愛しの座敷わらし」製作委員会
  • 原作『愛しの座敷わらし』表紙画像

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