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【後編】『SPEC』植田博樹プロデュサー語る作品制作の気概「消化試合にはしたくない」

 戸田恵梨香加瀬亮の2人が主演で挑んだ連続ドラマ『SPEC』のスペシャルドラマ「翔」の放送(4月1日予定)と劇場版「天」の公開(4月7日)を目前に控え、ORICON STYLEでは同作の仕掛け人であるTBS・植田博樹プロデューサーにインタビューを敢行した。ヒット作を生み出す植田氏だが「そこにロジックはない」と断言。「どの作品も消化試合のような事にはしたくないんです」と、作品制作の気概を明かした。

戸田恵梨香&加瀬亮の新たな才能を開花させ、熱狂的ファンを獲得した『SPEC』シリーズ

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 前作超えを課題とするなかで選んだテーマは、超能力者が登場する「SF」作品。ここ数年の映画・ドラマのヒット傾向として、オリジナル作は少なく、かつ推理を軸にした刑事ものが多い。そのなかでSFという分野で勝負をかけるにあたり、ある種の怖さはなかったのだろうか? 率直に質問をぶつけると、植田氏は「怖いですよ〜。あの新しいことを面白がる堤さんでさえ『SFですか……』と3秒ほど黙ってしまいましたからね」と笑い飛ばす。

 今週末のSPドラマと来週の映画放送を控え、Web上のさまざまな非公認ファンサイトでは主人公・当麻に関する謎ときがなされ、ドラマのその後に関する憶測が飛び交うなど、結果的には前作に引けを取らないコアファン獲得に成功。それでも、息の長い作品を育てる“ヒットの仕掛け”について尋ねると「ロジックもノウハウもないんですよ。小手先の技術や、過去の経験則は全部捨てると決めてるんです。初心に立ち返る。新しい事に挑戦できているか? と自問自答するだけです」と、静かに語る。

 常に既成概念を覆すような世界観、斬新なキャスティングでハイリスク&ハイリターンとも言える挑戦を繰り返し、一見“怖いものなし”といった印象を受けるが植田氏。だが、実際の作品制作の現場で感じる“不安”について尋ねると、少し黙り込んだ後で「すごく綺麗な言葉を選んで話すと」と前置きし、「僕もそろそろ現場を離れて管理職になる年齢で、(会社から)いつ『これが最後の作品』と言われてもおかしくなくて。だからこそ、どの作品も消化試合のような事にはしたくないんです。どの作品であっても、一場面、一場面で多くのスタッフ、キャストが携わって撮ってるんだから“埋め草”であってはならないんです」と真剣な表情を見せる。

 「一歩でも二歩でも良いから、新しいアイデアを注ぐということ。安定したものを作って、充実感も得られず、結果何も残らないという経験もしましたし、それが一番怖いです」と断言。「そこそこの数字(視聴率)というのは、そこそこでしかない。きっと、次のクールのドラマが始まれば忘れられちゃうから。そんな作品は嫌です。ドラマ、映画が終わってもファンの人たちに可愛がってもらえる、そいう作品を残したい」。

 前作のプレッシャーを跳ね除け完成させた『SPEC』シリーズがいよいよ劇場公開。SPドラマでは、当麻の左手の謎が明らかになり、映画版では新たなSPECホルダ−として浅野ゆう子伊藤淳史も登場し、超能力を視覚化する映像表現や堤監督らしいユーモアとシリアスのふり幅の広さなど、遊び心もたっぷり盛り込まれている。

 ドラマ最終回は「癸」、SPドラマは「翔」、そして映画は「天」と音読みすれば“起承転”にも置き換えられるサブタイトルが続き、“結”の回はいつか披露されるのか? 堤監督と植田氏が仕掛ける『SPEC』ワールドの顛末が、この春の映画界の話題をさらう。

>【前編】植田Pにとっての功績であり足かせとなった『ケイゾク』への思い

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  • 植田博樹プロデューサー (C)ORICON DD.inc
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