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【3.11テレビ番組】堤幸彦監督が初のドキュメンタリードラマに挑戦 震災から丸1年、未だ癒えぬ“傷跡”を描く

 人気映画監督・堤幸彦が手掛けたドキュメンタリードラマ『Kesennuma,Voices. 東日本大震災復興特別企画〜堤幸彦の記録〜』(初回 3月11日 後9:30〜 TBSチャンネル)が放送されることが8日、わかった。東日本大震災から1年が経過し、堤監督が「映像に関わる者の使命」という想いから制作された同作は、妹夫婦を津波に流されたアナウンサー・生島ヒロシの長男・勇輝と次男・翔が“被災家族”という立場から、被災地・気仙沼で、今も残る震災の傷跡を浮き彫りにする。自身初となるドキュメンタリードラマに挑んだ堤監督は今作について「僕は正直、ドキュメンタリー作家ではございませんが、準架空のようなストーリーを縦軸にし、しかし圧倒的な不運、被災の現実はそれなりにきちんと見せたいと思いました」と自身の想いを吐露している。

被災地・気仙沼でドキュメンタリー作品の撮影に挑んだ堤幸彦監督 (C)TBSチャンネル

被災地・気仙沼でドキュメンタリー作品の撮影に挑んだ堤幸彦監督 (C)TBSチャンネル

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 元々、気仙沼には自身の作品のロケで幾度となく訪れており、堤監督にとって思い入れのある街。震災直後から撮影クルーらと共に復興に向けてのボランティア活動を行ってきた堤監督だったが、“映像作家”として何が出来るのかを常に自問自答してきた。「(当初は)気仙沼で映像作品を撮るのは無理だろうと思っていました。正直、あまりにも被災の状況の凄さ、そこで見聞きした被災された方々の想像を絶する悲運等を考えると、自分が映像を撮って元気になっていただくとか、何やら頑張っていただきたいというメッセージを送るという気持ちにはとてもなれなかった」と真摯な想いを明かす。

 そんなジレンマに悩んでいるとき、大学の先輩でもある生島ヒロシの妹夫婦が津波に流されたという事実を知った。「以前、生島さんから息子さんを紹介されたことを、ふと思い出して。この息子さんたち二人というのは、立場的に非常に(自分に)似ているなと思いました。気仙沼がルーツでありながら、東京でずっと暮らし、気仙沼のことをどう考えていいのか混乱したんじゃないのか? この二人を軸に据えれば、自分は(気仙沼で)映像作品は撮れないと思っていましたが、もしかしたら撮れるかもしれない、と思ったんです」。

 物語はボランティア活動のため気仙沼に向かう生島兄弟の出発から始まっていく。どんなに溝を掘っても掘っても終わらないボランティア活動の無力感と喪失感。復興が困難な状況の中、やがて変化していく二人の心をリアルの映像で描く。これまでに『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)、『トリック』(テレビ朝日系)、映画『20世紀少年』など、数々のヒット作を世に生み出してきた堤監督だが、ドキュメンタリードラマは初めて。「ドキュメンタリーを撮るというのは、自分が観る立場であればそれなりの作家性、作家としての視点、客観性を含めて、どのような観点で事態を切り取っていくのかというはっきりした立場がなければとれないと思いました」と、一定の距離を置いていた事を明かす。「でも、実際のご自身の身内の話がテーマになっているわけですから、今回描いたような真実に近いストーリーを縦軸にすれば作品になるんじゃないかと思ったんです」。

 昨年12月上旬に方針が決定し、同12月末に3日間で撮影が行われた。気仙沼の皆さんにインタビューを行いながら、リアルな気仙沼の現状を“物語”に構築していった。震災以降、実際に被害に遭わなかった人も、「今、自分に何が出来るのか?」を自問自答してきた。特に、影響力が強く人に笑顔を提供することを生業とするエンタテインメント界に籍を置くクリエイター、役者、タレントたちは、自分たちの“存在意義”を改めて見つめ直した。今回の作品を通して堤監督は「部外者としても悲嘆しているだけではダメだという意識を改めて持ちました」と語るように、今作は日本国民全員が“自分に出来ること”をもう一度見つめ直すきっかけとなりそうだ。

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  • 被災地・気仙沼でドキュメンタリー作品の撮影に挑んだ堤幸彦監督 (C)TBSチャンネル
  • 出演した生島勇輝と翔と打ち合わせをする堤監督 (C)TBSチャンネル
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