現在撮影中の映画『あなたへ』（降旗康男監督、来秋公開予定）で、主演の高倉健とビートたけしが共演するシーンの撮影が10月3日、4日に岐阜県・高山で行われた。「たけちゃん」「健さん」と呼び合う2人は『夜叉』（1985年）以来27年ぶりの共演。高倉は、映画出演自体が6年ぶりで「大変緊張していますが、楽しい時間を過ごしています」。何よりも楽しみにしていたのが、この日のたけしとの共演で「待ち遠しくて、高山駅まで迎えに行ってしまいました」と人柄をにじませた。

　一方のたけしも「ドキドキしています。26年ぶりという感じはあまりせず、2人で笑って話していますが、目の前に立たれるとセリフが止まっちゃいますね。（他のキャストも）みんな健さんの前に立つとそうなるらしく、自分は慣れているから大丈夫と思っていたけどやっぱりそうなっちゃいました。こんなに夜中じゅう台本を見たのは久々」と緊張を隠せない様子だった。

　同作は、高倉演じる主人公・倉島英二が、愛した亡き妻（田中裕子）の生前の真意を知るために富山から九州まで総距離1200キロを車で旅するロードムービー。風光明媚な各地でロケ撮影を敢行し、旅の途中で出会うさまざまな人々との心の交流を描く。高山では、たけし演じる自称元中学教師・杉野輝夫と倉島が高山のドライブインで出会うシーンや、二人が再会するガソリンスタンドのシーンなどの撮影が行われた。

　「たけちゃんの役は出番は少ないが、パクっと食っていくおいしい役で、たけちゃんにしかできない」と高倉。「おれはセリフが多くて一生懸命言っているのに健さんは『ああ』とか『そうか』とか短いセリフでずるい！（笑）」とたけし。冗談の言い合いの中にも、互いを尊敬し合う心遣いを感じさせた。

　高倉は、たけしについて「常に新しいことに挑戦している姿には頭が下がります。たけちゃんのような素晴らしい人の力を借りて、大人の日本映画が1本でも多く作られることを切望します」。たけしは俳優としての高倉を「映るだけで画面が締まる。人間国宝ですね」と話していた。

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