先月亡くなった俳優・原田芳雄さんの最後の主演映画『大鹿村騒動記』（阪本順治監督、ロングラン上映中）のヒット御礼舞台あいさつが8日、東京・丸の内TOEIで行われた。大楠道代、石橋蓮司、佐藤浩市、松たか子ら出演者、阪本監督が登壇し、劇中で原田さんが着用したテンガロンハットとともに、撮影時のエピソードなどを披露して故人を偲んだ。大楠は「帽子の主も来ております」、阪本監督も「肉体は失っても、その人の意識や言葉は失われない。この辺でピョンピョンしていると思う」と語り、原田さんの存在感を示した。

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　同作は7月16日より全国97スクリーンで公開され、8月7日までに約15万人動員、興行収入1.5億円（一律1000円興行のため）を上げ、170スクリーン以上に上映が拡大するヒット作となった。丸の内TOEIでも5日までの予定を2週間延長している。

　闘病中にもかかわらず7月11日の完成披露試写会には車椅子に乗って登壇した原田さんだったが、初日舞台あいさつはやむを得ず欠席。「後日、改めて舞台あいさつを」という原田さん自身の希望があったという。その遺志を継いで登壇した石橋は「原田芳雄もたいへん喜んでいると思います。感謝します。（同作の撮影現場は）役者同士が本当の村人同士のように仲良くしていた。精神的な村長だった原田さんのおかげだと思います」と話した。

　また松が、同作のクライマックスである村歌舞伎のシーンの出番を待つ間にほかの役者の準備を手伝っていた際のエピソードとして「スタッフと勘違いされたみたいで、石橋さんに、女優になりたいんだろう？　東京へ連れて行ってあげようか？と言われました」と明かすと、会場は笑いに包まれていた。