ドラマの世界観に役者心をくすぐられた──今回の比呂人役は、前回インタビューさせていただいたときの『花ざかりの君たちへ 〜イケメンパラダイス〜2011』のオスカー・M・姫島からは想像のつかないキャラクターでしたが、本格的な昼ドラのオファーを受けたときの率直な感想は?
【徳山】 ええっ!という感じでしたね。撮影スケジュールのタイトさとかを考えると「俺にできるのか?」と、ちょっとだけ憂鬱になって。というのは、昼ドラを経験した方の多くが、口々に「連日の撮影がツライ……」と言っていたので(苦笑)。でも、全然大丈夫でした。 ──大丈夫だった理由は何だと分析していますか? 【徳山】 監督との信頼感、プロデューサーの熱意、あとは脚本の素敵さですね。ドラマの世界観そのものに役者心をくすぐられたというか、それがいい燃料になって、撮影はトータルで4ヶ月ちょっとありましたが、一度もエンストせずに終わりまで駆け抜けました。 ――いい現場だったんですね。このドラマはいわゆるドロドロ系の恋愛ドラマ。その世界観を徳山さん的にどう理解し、どう受け取ったのでしょう? 【徳山】 演じる以上、どんなものでも受け入れなければならないんですよね。今回は早い段階から監督と話し合って、台本もかなり読み込んで臨みました。そうやって受け入れて、ちゃんと腑に落ちて発しているセリフは、決して見苦しいものにならないと思うんです。『さくら心中』で起こる出来事は、ドロドロ系と言われるかもしれないけれど、僕はピュアであるがゆえの大惨事だと受け取っています。 ――世界観を理解した後は、具体的にどんな役作りを? 【徳山】 監督やプロデューサーが言うには、もともと僕には比呂人のような一面があるらしくて。僕の持っているもので勝負して欲しいと言われました。僕の場合、どんな役でも自分と役を重ね合わせて似た部分を引きずり出し、そこから作り込んでいくんです。比呂人に関しては、飾らない僕自身を出すため、余計な部分を削る作業から始めました。 運命によって魂が惹かれ合っている――付け足す作業よりも削る作業の方が難しい気がします。 【徳山】 そうですね。削ぎ落としているのに付け足しているように見えたりすることもありました。難しかったけれど、周りの方に助けられてうまく表現できたのかなと。 ――削っていくことで自分の本質とも対面したのでは?徳山秀典はどういう人だと思う? 【徳山】 意外と嘘をつけない性格なんだなって、再確認しました(笑)。 ――演じることはある意味、虚の世界でもありますよね? 【徳山】 そうなんですけど(笑)、だからこそセリフに嘘を感じてしまうと、どうしても言えなかったりするんです。そういう意味では、今回のセリフはどれもすっと入ってくるものばかりで。実際に笛木優子さんに、(役の)桜子さんに恋をしていましたね。 ――次々と男性を魅了していく桜子さん、本当に妖艶でした。男性として、彼女の何がそこまで魅力的なんだと思いますか? 【徳山】 僕のなかでは“運命”っていうもの──桜の木の下から始まって、桜に導かれて、最終的に桜子を守っていたのは桜の木であるという、その運命がすべてだというか。桜子と比呂人は、運命によって双子以上に魂が惹かれ合っている、そういうふたりだと解釈していました。 ――ということは、運命の恋人とか運命の出会いは信じる?
【徳山】 ズドーンと落ちるような恋ってことですよね。そういう相手、早く見つけたいとは思っているんですけどね(笑)。 ――徳山さんは好きな人ができると自分から行動に出る?それとも待つタイプ? 【徳山】 行動とはちょっと違うけれど、一目惚れ体質ですね。その人の持っている雰囲気に引き寄せられて好きになるタイプ。好きになるとその人のすべてを知りたくなります。ドラマでは逆の立場で、後半は中澤裕子さん演じる明美を狂わせちゃいますけど、本当は献身的な女性で、いい女だと思うんですよね。誰も比呂人と桜子の究極の純愛に勝てなかったというだけなんです。 (文:新谷里映/撮り下ろし写真:片山よしお) PROFILE
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