ORICON STYLE

Vol.4(最終回):自分のルール ―― 身近なヒーローにしたかった

堤監督 画像

 ついに最終回を迎えた本連載。私のおしゃべりがうま過ぎるのか(笑)、ちまたでは『エイトレンジャー』をギャグ映画だと勘違いしている方もいらっしゃるようですが、それは誤解です!『エイトレンジャー』は基本的にアクション映画です。いつの日かDVDが店頭に並ぶときには、必ずやアクションコーナーに置いていただきたい。

 今回はじめて、正面からヒーロー映画に取り組むにあたって、自分のなかでひとつだけルールを決めていました。それは近未来のヒーローだからといって、ありえない武器を使うのは止めようということでした。特殊な武器や拳銃を使うのではなく、潔く素手で殴り合って戦う、身近なヒーローにしたかったんです。かなり危険なシーンもありましたが、関ジャニ∞のメンバーたちは、ほぼ代役を立てずに演じ切ってくれました。

横山裕:プロ並みのクールなアクション&サラリとしたギャグ

 映画は、横山裕くん演じるブラックこと横峯誠が、八萬市(エイトシティ)と東京シティの間を流れる硫酸の運河(泳ぐと死にます!)にかかる橋の上を全力疾走する、手に汗握るシーンから始まります。ギャンブル中毒の横峯が闇金業者から逃げるというシチュエーションなんですが(笑)。橋だけに止まらず、エイトシティ内を何キロも走り回るハードなシーンを、ほとんど顔が映らないにも関わらず、横山くんは必死で走ってくれました。冒頭から横山くんの本気を体現したような気迫のシーンとは、実にアクション映画らしい始まり方だなと改めて思いますね(笑)。

 それにしても横山くん、本当にアクションがお上手なんです。「どこで習ったの?」と思わず本人に聞いちゃったくらい、しっかりやれる。ベッキーさんとのアクションシーンなんて、ハリウッド級のド迫力です!今回、横山くんにはストーリーを牽引する重要な役どころをお願いしました。彼がブレるとお話の大事な部分もブレてしまうので、基本的にはギャグとかほとんどできない立ち位置だったのですが、ブラックにもひと言だけ、ボケ台詞を言うシーンがあるんです。実は本作のギャグのなかでいちばんのお気に入りです(笑)。居酒屋「泣泣」で、レッドとナスからリーダーをやってくれと言われて、ブラックが戸惑うシーンで「そもそも僕はそんな器じゃないんです」というセリフを「そんな皿じゃないんです」と。……うまかったなぁ。村上くんじゃなくても「う、器じゃ?」って思わず突っ込みたくなってしまう!非常にサラリとした、大好きなシーンです。もちろんプロ並みのクールなアクションにも注目してくださいね。

渋谷すばる:秀逸なやさぐれ芝居で魅せた演技派

 レッドこと渋沢薫役の渋谷すばるくんも、なかなかの逸材でした。前述の居酒屋のシーンで、8歳で親父に見放された悲しい過去をブラックが打ち明けるとき、思い出のペンダントを見たレッドが「うわっ!鎖なしペンダント。思い出がびっしり詰まっとんのか!」という本来のセリフに、現場で「昭和のやり方や〜」とひと言足してみたところ、そのセリフ回しが絶妙におかしくてね。こんなにうまく言ってもらえるなら、ギャグの思いつき甲斐があるなぁと感動しました。

 アルコール依存症のレッドは、酔拳の使い手という設定でしたが、秀逸なやさぐれ芝居で魅せてくれました。あの味わいはなかなか出ない。相当の演技派ですね!渋谷くんは自分の立ち位置を決めてから、撮影に参加してくれたんです。撮影初日に、靴をちゃんとはかず、ヘルメットのあごひももしないスタイルで現場に現れましてね。スニーカーのかかとを踏んだまま、アクションシーンもやろうとするので、「危ないよ」って注意しようと思いつつ、とりあえず動きを見ていたら、渋谷くんのルーズさがレッドの酔拳にぴったり合うんです!レッドのキャラクターを考え抜いて撮影に臨んでくれた、渋谷くんの熱心さに感心しました。彼のアイディアを利用してアクションシーンも作っていきましたが、「ウォー」と吠えてみたり、細かいところまでいろいろと自分で動きを足して、工夫してくれました。

エイトレンジャーたちがパート2へと飛躍できるように

 7人7様のアクションの個性は、おそらく映画を3回はご覧になっていただかないとわからないのではないかと思います。前の回にも言いました(笑)?5回でした?『エイトレンジャー』の世界観は、今回きっちり構築しましたので、パート2では説明なしで、一気にものすごくおもしろい世界へとみなさんをお連れできるのではないかと思っております。ぜひともみなさん、やっと飛べるようになったエイトレンジャーたちがパート2へと飛躍できるよう、応援よろしくお願いします。ありがとうございました!

(文:石村加奈)

映画情報『エイトレンジャー』

エイトレンジャー LOGO

 お笑いのセンスと、そしてその絶妙な掛け合いのおもしろさから、音楽シーンのみならず多様な分野で活躍。世代性別を超えて幅広い層から人気を集めている関ジャニ∞の7人。デビュー8周年を迎える今年、彼らが初主演する映画は、今までコンサートで上演してきた人気キャラクターを映画化!「最悪のシナリオをたどった未来の日本」を物語の舞台に、コンサートのキャラクターをベースにしながらも、全く新しい世界観を堤幸彦監督が構築する!

ストーリー:  時は2035年。日本は最悪のシナリオを辿っていた。度重なる天変地異、経済危機、超少子高齢化、人口減少、治安の悪化――。日本の人々の多くは、生きる希望を見失いつつあった。ここ八萬市(エイトシティー)では治安悪化に伴い、街の平和と市民の安全を守るために、自警団『ヒーロー協会』を設立していた。

 そんな街で、闇金の追い立てから逃げているところをヒーロー協会にスカウトされた借金苦のニート・横峯 誠(ブラック)。なぜか、リーダーに任命されるも、他の6人のヒーローは一癖も二癖もある者たちばかり。『エイトレンジャー』はやる気もなくバラバラ。ヒーローとは程遠く、むしろまともな仕事に就けず、バイト同然で借金返済の為にヒーロー協会にいるだけの吹き溜まりだった……。
 エイトレンジャーたちは八萬市を、日本を守ることが出来るのか?!

監督:堤幸彦
出演:横山 裕 渋谷すばる 村上信五 丸山隆平 安田章大 錦戸 亮 大倉忠義 
ベッキー 蓮佛美沙子 竹中直人/田山涼成 石橋蓮司 東山紀之 舘ひろし

2012年7月28日(土)全国東宝系ロードショー
(C)J Storm/2012エイトレンジャー映画製作委員会

OFFICIAL SITE

プロフィール

堤幸彦 1955年11月3日生まれ。愛知県出身。
1988年、故・森田芳光プロデュースのオムニバス映画『バカヤロー! 私、怒ってます』内『英語がなんだ』で映画監督デビュー。ニューヨークで撮ったオノ・ヨーコ主演の『ホームレス』(1991年)、『さよならニッポン! GOODBYE JAPAN』(1995年)などの映画のほか、テレビドラマやミュージックビデオ、ライブ映像、舞台の演出と幅広く活躍。『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』『トリック』などの斬新な演出はその後のテレビドラマに大きな影響を与えた。

主な監督作は『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』(2000年)『トリック劇場版』(2002年)『恋愛冩眞』(2003年)『明日の記憶』(2006年)『自虐の詩』(2007年)『20世紀少年』3部作(2008〜2009年)『まぼろしの邪馬台国』(2008年)『BECK』(2010年)『はやぶさ/HAYABUSA』(2011年)『劇場版 SPEC〜天〜』『MY HOUSE』(2012年)など。

ARTIST PAGE  OFFICIAL SITE

■自筆で綴る『MY HOUSE』連載
 「映画やドラマを作っている堤幸彦でございます」
 

▲このページの最初に戻る

エンタメ インタビュートップへ

P R

[an error occurred while processing this directive]
イープラス