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湯浅政明監督のアニメ哲学「最大公約数のなかで自分ができることを探る」

仕事をセレクトする海外アニメーター 日本でも選択肢が増えるといい

――世界的評価も高い湯浅監督ですが、海外ファンの熱狂ぶりは日本と違いますか?
湯浅政明そこは変わりはないと思います。ただ、海外の方がよりコアなファンに多く出会うような気はします。リアクションが大きいですし、発言する人も多いですから、分かりやすさはありますけど、本質は変わらないのではないでしょうか。昔はコメディでも笑いのツボが違うと思っていましたけど、今は近くなっているように感じます。YouTubeなどで同じものを観ていることで、感覚が近づいているのかもしれません。だから、日本で人気が出れば海外でもヒットするし、日本で人気がなければ海外でも当たらない。日本でおもしろいものを作れば、海外でもちゃんと観てもらえるという感覚はあります。

――おもしろいものさえ作れば、海外もついてくると。
湯浅政明そうですね。そのためには、例えば男の子はおもしろがるけど、女の子は嫌がるようなシーンがあったら、逆に女の子が喜んで、男の子が嫌がるようなシーンも作るというバランスをとります。いろいろな部分が平等に扱われていれば、日本でも観やすいし、それは海外でも同じです。
――Netflixは、日本と海外の合作を積極的に制作していますが、海外クリエイターとの共同制作へのご興味は?
湯浅政明日本のアニメーション産業はブラック企業が多いと言われたりしていますが、海外から来るアニメーターの多くは、自分の国や、世界のあちこちのスタジオとも仕事をしていて、いろいろセレクトしているなかで、日本の作品にも参加してきます。日本のアニメーターもそうなっていけばいいと思っているんです。需要があるところで働いて、チョイスできるのがいい。海外が良ければ海外でやるし、日本の方がやりやすければ日本でもやる。そんな選択肢が増えればいいと思います。

――海外でも人気の高い湯浅作品ですが、作品作りで心がけていることはありますか?
湯浅政明映像的特徴が分かりやすいものの反応が大きいですが、アニメとして制作したときに「おもしろいかどうか?」を一番に考えて制作しています。
――洪水のようにいろいろなイメージが湧き上がるのが湯浅作品の映像的特徴でしょうか。どのようにあのイメージが湧いてくるのでしょうか?
湯浅政明小説を読んでいても、そういうふうに読んでいます。それをそのまま映像化する感じですね。感じて浮かんだもの、おもしろいと思ったことをそのままやりたい。でもそれをやっていくうちに、もう少し淡泊な方が観やすいのかなと思って減らしてみたりとか、皆さんがどう受け取るのかということを天秤にかけながら、少しずつさじ加減を変えて作っています。『マインド・ゲーム』のときは、自分がおもしろければいいと思って好きに作っていましたけど、今はもっと観る人と共感を分かち合いたいという意識を持っています。もうちょっと歩み寄って、最大公約数の誰もがおもしろがれるところで、自分ができることを探りたいです。

――日本のアニメ界が発展していくために、課題はありますか?
湯浅政明どうなんでしょう。なるようになっていくしかないと思います(笑)。僕は、自分が子どもの頃に観ていたアニメが、すごく多様性があっておもしろい作品が多かったと感じています。そういう多様性を持ち続けることが大切なのではないでしょうか。
(文:壬生智裕)
湯浅政明監督
アニメーション監督 サイエンスSARU 代表
Profile/ゆあさ まさあき
1965年生まれ。『マインド・ゲーム』(04年)で監督デビュー。13年に自身のアニメーションスタジオ、サイエンスSARUを設立。以降、TVシリーズ『アドベンチャー・タイム』(14年)でゲスト監督を務め、『アニー賞』テレビ部門監督賞にノミネート、『夜は短し歩けよ乙女』(17年)で『日本アカデミー賞』最優秀アニメーション作品賞、『夜明け告げるルーのうた』(17年)で『アヌシー国際アニメーション映画祭』長編部門クリスタル賞など数々の賞に輝く。18年初春には、スタジオ初のシリーズ作品『DEVILMAN crybaby』がNetflixより全世界一斉配信。世界中のアニメファンから高い支持を受ける。

第31回東京国際映画祭

開催期間:2018年10月25日(木)〜11月3日(土・祝)
会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場 他
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