その男気を讃えたい
本格的なオフロード性能を有するクロスカントリー車として、今や貴重な存在となった「スズキ・ジムニー」と「メルセデス・ベンツGクラス」。価格もボディーサイズも異なる2台の間に、共通する価値観はあるのか? 東京-富士ヶ嶺のドライブを通して確かめた。
わが道を行く2台のクロスカントリー
スズキ・ジムニーとメルセデス・ベンツGクラス。大小のカクカクしたクルマが並んでいるのを見て、「すわ比較テストでも行うのか」と思われた方がいるかもしれない。けれども、値段が10倍近くも違うクルマを比べて意味があるとは思えない。ジムニーとGクラスの2台を並べた理由をわかりやすく説明すると、この2台は『万引き家族』なのである。……余計にわかりにくくなってしまったようなので、もう少し説明させてください。
2018年の初夏、ジムニーは20年ぶりのフルモデルチェンジを受けた。ほぼ同じタイミングで、デビューから約40年で初めての全面刷新を受けたGクラスが日本に上陸した。
この10年、20年の間にクルマ界にはいくつかの大きな変化があったけれど、そのうちのひとつがSUVの隆盛だ。エンジン横置きのFFをベースにしたモノコックボディーのヤワでナンパなやつらが幅を利かせ、各社のドル箱となっていった。
実のところ、ヤワでナンパなSUVは軽〜い感じがして、決して嫌いではない。軽薄短小な1980年代に青春を過ごした影響かもしれない。とはいえ、もしジムニーとGクラスに人格があったなら、「ちっ」と舌打ちをして、「エンジンぐらい縦に置いたらどうや……」と、ノムさん(野村克也さん)のようにボヤいたに違いない。同時に、「ホンモノを見せたるわ」とも思ったのではないだろうか。
果たして新しいジムニーとGクラスは、屈強なはしご型フレームからサスペンションを生やしたラダーフレーム構造を堅守し、もちろんエンジンを縦に置き、従来型をはるかに上回る高度な悪路走破性能を備えて登場した。Gクラスは、オフロードで新型と従来型を比較試乗したけれど、悪路を走破する能力はもちろん、ドライバーに与える安心感や信頼感は新型がケタ違いに上だった。
つまりジムニーとGクラスは、SUVの流行とは一線を画してわが道を貫いたのだ。そういう意味で、血縁関係はないけれど思いを同じにする仲間、つまり『万引き家族』なのだ。この2台は、ラダーフレームというひとつ屋根の下に、もとい、ひとつ床の上に暮らしている。もちろん、ジムニーとGクラスは万引きをしない。ということで、この2台を集めて、自分を貫き通した男気(おとこぎ)を讃(たた)えようというのが、この企画の意図である。...