進化と本質
ダカールラリーで圧倒的な強さを見せるKTMがラインナップするアドベンチャーシリーズの中でも、上級モデルに位置する「1290スーパーアドベンチャー」と「1090アドベンチャー」。ブランド伝統のトレリスフレームとV型2気筒エンジンの組み合わせがかなえる走りを堪能した。
豊富なラインナップを誇るKTMのアドベンチャーモデル
オーストリアの二輪車メーカーKTMは、2019年モデルとして日本に導入された「790アドベンチャー」シリーズに加え、排気量が異なる2つのアドベンチャーシリーズをラインナップしている。それが1290スーパーアドベンチャーと、1090アドベンチャーだ。
790アドベンチャーがスチール鋼管を使用したバックボーンフレームと並列2気筒エンジンという、KTMにとって新しいディテールを採用した“新世代モデル”であるのに対し、1290アドベンチャーおよび1090アドベンチャーは、スチール鋼管をハシゴ状に組み合わせたトレリスフレームとV型2気筒エンジンという、KTM製大排気量バイクの伝統を受け継ぐ“レジェンドモデル”といえる。さらに言えば、1290スーパーアドベンチャーはダカールラリーでの勝利を目指し、そして実際に勝利を手にしたKTMのラリー史におけるマイルストーンとなったマシンの直系であり、1090アドベンチャーは進化の過程で埋もれつつあったラリーマシンとしての本質に、再び焦点を当てたマシンである。
KTMがアドベンチャーシリーズを世に送り出したのは1997年。パリ‐ダカールラリーに出場するためのラリーマシン「620アドベンチャー」がそのファーストモデルである。翌1998年には排気量を609ccから625ccに拡大した「640アドベンチャー」を発売し、ラリーシーンにおけるKTMの存在を確固たるものとした。2003年には、前年のダカールで優勝したKTM初の挟角75°V型2気筒マシンをベースとした市販モデル「950アドベンチャー」を発売。そして2006年に「990アドベンチャー」を、2013年に「1190アドベンチャー」を、さらに2015年に電子制御サスペンションやコーナリングABSなどの電子制御を満載した1290スーパーアドベンチャーと、排気量を落としながら軽量な車体で純粋にオフロードや旅を楽しめる「1050アドベンチャー」をリリースした。2017年に登場した1090アドベンチャーは、この1050アドベンチャーの後継モデルにあたる。...