極楽スーパースポーツ
マクラーレンの新たなオープントップモデル「720Sスパイダー」に試乗。先行デビューしたクーペ「720S」とは違ったドライビングプレジャーや、両車に共通する走りの特徴について、アメリカ・アリゾナ州から報告する。
コンバーチブル特有のネガがない
「スパイダーでもクーペとまったく同じドライビングプレジャーが得られる」 これが有名な“マクラーレン・スパイダーの定理”である。皆さん、ご存じだっただろうか? いやいや、申し訳ない。誰も知らなくて当然。なぜなら、私がいま勝手に定めた定理だからだ。ただし、「マクラーレンのスパイダーはクーペとまったく同じドライビングプレジャーが得られる」というのはウソ偽りのない真実。2011年に発表された「MP4/12C」以降の、すべてのマクラーレンロードカーに試乗したことのある私が自信をもって言うのだから、これはぜひとも信じていただきたい。
クーペをコンバーチブルに改めるとボディー剛性が低下して、ハンドリングや乗り心地に悪影響が出るのがスポーツカー界の常識。これを嫌って入念に補強すれば重量がかさみ、運動性能の低下や重心高の上昇を招く。つまり、どこまでいっても同じ性能にならないのがクーペとスパイダーの宿命なのである。
ところがマクラーレンは例外。彼らがボディー構造の基本にカーボンモノコックを用いていることはご存じのとおり。カーボンモノコックは別名“バスタブ(湯船)”と呼ばれることからもわかるように、屋根に相当する部分に構造体が存在しない。したがってルーフを切り取っても剛性の低下は基本的にゼロ。ただし、マクラーレンのスパイダーには格納式ハードトップが装備されるため、クーペに比べて40〜50kg重くなるのはやむを得ないところ。もっとも、これは車重に対して3%ほどの重量増のため、その影響は実質的に感じられなかった。これこそ、私が“マクラーレン・スパイダーの定理”を提唱するゆえんである。...