「ありがとう」が聞きたくて
コンパクトハイトワゴン市場に割って入るべく、ダイハツが開発した「ダイハツ・トール」と「トヨタ・ルーミー/タンク」。コンパクトなボディーに広い室内、また数々の便利な装備には、どんな気持ちが込められているのか。開発責任者の思いを聞いた。
スズキ・ソリオは意識しなかった
コンパクトカーの取り回しのよさと、ミニバンのユーティリティーの高さを“いいとこ取り”した新型車が、ダイハツ・トールとトヨタ・ルーミー/タンクである。この兄弟の生みの親である、ダイハツの嶋村博次チーフエンジニアにお話をうかがった。
――ダイハツ・トール、トヨタ・ルーミー/タンクの“背高コンパクトカー”は、「スズキ・ソリオ」の寡占状態であったこのセグメントに新規参入したニューモデルです。開発にあたっては、やはりソリオを意識したのでしょうか?
嶋村博次氏(以下、嶋村):横に置いて見たりはしましたが、ソリオのここがこうだからウチはこうしよう、ということは考えませんでした。そういう意味では意識はしていませんね。価格は意識しましたけれど(笑)。
――では、トール、ルーミー/タンクを開発するにあたって、一番意識したことは何でしょう?
嶋村:機能ありきの開発ではなく、いろんなシーンを想像して、お客さまが笑顔になる、「ありがとう」と言えるシチュエーションに思いをはせながら開発しました。
――ありがとう、ですか?
嶋村:例えば年老いた両親を後席に導く時に、ステップは付いていますが、それでも階段よりも段差は高い。そんな時、握りやすい太さの、大きなグリップがあれば乗り込みがスムーズです。乗り込みをアシストしてあげれば、笑顔で「ありがとう」と言ってくれるのではと想像しました。また、4歳児が乗り込むには、もう少し低い位置に細いグリップが必要です。そこで高い位置と低い位置ではグリップの太さを変えたので、お子さんも笑顔で乗り込めるはずです。
――先ほど試乗しまして、確かにグリップの太さが変えてあるという、キメの細かい配慮には感心しました。やはり、子育てファミリーを念頭において開発なさったのでしょうか?
嶋村:第一に考えたのはそこです。お母さんが後席にカバンを置いて赤ちゃんのおむつを替えるシーンなどを想像しながら開発しています。もうひとつ、シニア層にも喜んでいただけるように配慮したつもりです。ご夫婦で遠出をしてちょっと疲れたなんていう時、リアシートが70度もリクライニングするので、ほぼフルフラットになります。道の駅や高速道路のサービスエリアで休憩していただけると思います。ソケットから電源を取ってコーヒーやお茶を飲んでくつろぐのもいいですね。あと、釣りをなさる方などは、早めに到着して仮眠をして夜明けを待つ方が多いと聞きまして、そういう使い方も想定しています。...