思わず夢中になっちまう
堅牢なオフロードスタイルとファッション性、そして多用途性を併せ持つ、トライアンフのネオクラシック「ストリートスクランブラー」。またがってむちを当てるや、ライダーは気軽にどこでも行きたくなる自由な気分に満たされるのだった。
フィーリング重視のツインエンジン
スクランブラーとは、本格的なオフロードバイクがなかった時代、ロードバイクにオフロード用のタイヤ、マフラー、ハンドルを取り付けたモデルのことだ。昨今のネオレトロのムーブメントとともにまた人気となりつつあるのだが、その主たる理由は走りや機能ではなく、そのスタイルにある。ところがストリートスクランブラーに乗ってみて、ロードモデルとは少し違った走りのテイストがあることに気づかされることになった。
ストリートスクランブラーで走りだして最初に感じるのはその乗りやすさだ。ハンドリングもエンジンの特性も非常に扱いやすく、ライダーが神経を使うようなことがない。搭載されている「ボンネビル」系の900ccエンジンは、低回転から非常に力強いトルクを発生し、スロットルを開けると車体を力強く押し出す。しかし、過敏さはまったくない。フライホイールマスが非常に大きなエンジンだからである。
効率や性能を追求してフライホイールマスを小さくしたエンジンは少なくない。最新のマネジメントシステムがあれば、それでも乗りやすい特性にできる。ところがストリートツインはそういったやり方をせず、エンジンそのもので特性を作り込んでいる。回転力がクランクとフライホイールにため込まれ、スロットルを開けた瞬間にエンジン自体のトルクとともに車体を押し出すから、力強く、滑らかな加速感が生まれるのだ。
270度という不等間隔の爆発は、低中回転で歯切れが良い排気音とツインらしい鼓動感を作り出す。前述した大きなフライホイールマスのおかげでアイドリング付近の超低回転からのスタートも容易だから、低い回転でクラッチをつなぎ、ツインのドコドコという鼓動感とともに速度が上がっていく感じを存分に楽しむことができる。回転が上がっていくと鼓動感は弱くなってしまい、振動も出てきてしまうのだけれど、高回転まで回さなくても十分にパワーがあるから、ストリートや高速道路の巡行では、気持ちの良い回転域をキープして走ることができる。...