ムチを止めるな!
「メルセデスAMG GLC63 S 4MATIC+」に試乗。この最高出力510psの“暴れ馬”は、優しく御すだけでもそれなりの満足を与えてくれるだろう。しかし、絶えずムチを入れ続け、ギャロップさせてこそ見える世界もまたあるのだ。
全幅は1931mmに達する
夜、東京・恵比寿の丘の上の駐車場に、メルセデスAMG GLC63 S 4MATIC+はその白いボディーを薄闇のなかで浮かび上がらせていた。「メルセデスAMG GT」以外で初めて採用されたAMGパナメリカーナグリルが、う〜む、これって1952年の「300SLプロトタイプ クーペ」に由来するわけで、それがエッジの効いた「GLC」の21世紀デザインにいきなりポコンとはめ込まれた、その違和感というようなものを筆者はひそかに感じたのだった。
でもって、運転席に座り、スターターボタンを押すと、都会の喧騒(けんそう)と開放された空間のおかげでか、AMGモデル特有の爆裂音にビビることはなかった。
さりとて、GLC63 Sはその丘の上から駒沢通りへといたるまでの狭い路地にはデカイのだった。90度のクランクが鬼門となって行く手に待ち受けていた。4682mmの全長と2873mmのホイールベースは、「Cクラス」の「ステーションワゴン」のそれらより、それぞれ100mmちょっとと30mmほど短いナイスなサイズではあるけれど、100mmちょっと広い1931mmの横幅と、それをいっそう大きく感じさせる200mmばかり高い上背のおかげで、暗闇に潜む路地のなにがしかにホイールを擦りはせぬか、ボディーをぶつけはしないか、としばし立ち止まるオレだった。ドコドコ、ドコドコというAMG謹製V8の鼓動がサスペンス映画のドラムの重奏低音のようにも聞こえ、私の心拍数をあげようとする。...