40年目のセルフカバー
今やアイコン的存在となっているメルセデス・ベンツのクロスカントリーモデル「Gクラス」。新設計のボディーやフロント独立懸架の足まわりを得て、劇的な進化を遂げたというニューモデルの出来栄えを、“オン”と“オフ”の両方で確かめた。
変わらないことに意味がある
東京ほどメルセデス・ベンツのGクラスを頻繁に見かける街はないだろう。表参道でも六本木でも、いたるところでGクラスが黒光りしている。「1979年にNATO軍に制式採用された」という史実を踏まえて(“正式”採用ではないところがミソ)サバイバルゲーム愛好家が乗っているなんてことはなく、東京で見かけるGクラスにお乗りなのは、ファッション誌で見かけるようなおしゃれな方ばかりだ。実際、周辺でもカメラマンとかコピーライターとかスタイリストとかDJとか、流行に敏感な方がGクラスに乗っている。
新しいトレンドを追いかける人々が、なぜ79年から基本的な形と構造を変えないGクラスに乗るのか? 思うに、新しいモノを求めて動き回る人こそ、いつまでも変わらないGクラスが必要なのではないだろうか。世界を旅する船が母港に錨(いかり)を下ろす時のように、Gクラスのステアリングホイールを握るとホッとするのだ。流行を追いかけながらその一方で、変わらないGクラスに乗るからバランスがとれる。
ファッション関係の仕事に就く知人のAさんも、念願かなってGクラスを購入したひとりだ。けれども実は、Aさんから「ゲレンデが欲しいんだけど……」という相談を受けた時は、羽交い締めにして思いとどまるように説得した。メルセデスの「Eクラス ステーションワゴン」に乗るAさんが、ベルベットのように滑らかな乗り心地を好むことをよ〜く知っていたからだ。「ゲレンデは乗り心地がゴワゴワするからよしといたほうがいいと思いますよ」。
説得むなしく、AさんはGクラスを購入した。笑ってしまったのはしばらくしてAさんに会ったら、GクラスがBMWの「5シリーズ ツーリング」に替わっていたことだった。Aさんは、デヘヘと照れ笑いをした――。
すっかり枕が長くなってしまいましたが、そのGクラスが刷新された。まず日本に導入されるのは4リッターV型8気筒直噴ツインターボのガソリンエンジンを積む「G550」(最高出力422ps)と、「AMG G63」(最高出力585ps)の2モデル。ディーゼルエンジン搭載モデルは開発中のため、しばらくは従来型の「G350dブルーテック」が併売されるという。
試乗した2モデルのうち、オフロード走行も体験できたG550をメインにリポートしたい。...