世界志向のドメスティック
“ユーザーの若返り”と“日本に合ったクルマづくり”を目指し、スクラップ&ビルドの精神で開発したという15代目「トヨタ・クラウン」。発売を前にクローズドコースで試乗し、その仕上がりを確かめた。
5年前の予言が現実に
「これからは『アスリート』がメインのクルマになると思います。近い将来、『ロイヤル』は陳腐化していくんじゃないでしょうか……」
2013年1月、14代目クラウンの試乗会でチーフエンジニアの山本 卓さんはそう語っていた。3.5リッターエンジンを搭載したアスリートを推す山本さんは運転が好きなんだろうなあと思って聞いていたのを思い出す。でも、あれは予言だったのだ。15代目クラウンにはロイヤルもアスリートもなく、「マジェスタ」も消えた。これまでのイメージを一新し、ドライバーズカーとして一本化したのだ。
若返りが課題となっている「カローラ」と同様、クラウンもユーザー年齢を下げることが至上課題となる。クルマとともにドライバーが年をとっていったのでは、早晩行き詰まるのは間違いない。現行モデルは、歴代クラウンで初めてロイヤルとアスリートの割合が逆転した。これまでロイヤルに乗っていた人が移行してきたので、アスリートの年齢層が一気に5歳ぐらい上がってしまったという。開発陣は相当な危機感を持っていたようだ。
社長さんのクルマ、パトカー、タクシーというイメージを払拭(ふっしょく)しなければならない。そうは言っても、トヨタを代表する高級セダンなのだから、あまりとっぴなことをするのはダメだ。大人っぽい落ち着きを保ちながら、未来志向を採り入れていく必要がある。相変わらず強さを見せる欧州のプレミアムブランドから顧客を奪いとることも重要なミッションだ。新型クラウンは、多くの容易ではない使命を背負っているのである。...