21世紀のお駕篭
トヨタのフラッグシップミニバンとして、根強い人気を誇る「アルファード/ヴェルファイア」。極東の自動車大国・ニッポンで、コワモテの四角い高級車がここまで支持を集める理由とは何か? その文化的背景と、高級ミニバンの歩むべき道について考えてみた。
欧米の高級車と日本のミニバンの違い
以前にも同じことを書いたけれど、欧米の高級車は馬車の末裔(まつえい)である一方で、日本のミニバンは駕篭(かご)の後継であるというのが個人的な意見である。
愚説をいま一度繰り返すならば、馬車は4頭仕立て、8頭仕立てと馬の数が増えるほどに高級になった。先っちょが長い乗り物がエラいと西洋人は刷り込まれているから、クルマもロングノーズがカッコいいとされる。また、馬の数が増えるということは、よりパワフルに、より速くなるということでもある。したがって欧米の高級車はパワーとスピードがあってあたりまえ。のんびり、ゆったり走る高級車はあり得ない。一方、日本人がエラい人の乗り物として認識したのは、「下へ下へ」の大名行列の駕篭だ。だから日本では、四角くて、びっくりするほど速くは走らないミニバンが憧れの対象となる。
といった具合に、欧米の高級車と日本のミニバンでは、大げさにいえば文化的背景が異なる。したがって欧米のクルマが大好物のエンスーが日本のミニバンを見てカッコ悪いとさげすむのは(イマ風にいえば「disる」のは)、ちょんまげを笑うのと同じだ。同じではないかもしれないけれど、近いのではないか。
反対にミニバン愛好家が高級ヨーロッパ車に対して、「なんであんなに狭っ苦しいのに値段が高いんだ」という反応を示すのは、「なんでちっぽけなトリュフのかけらがこんなに高いんだ」と言うのと同じだ。同じではないかもしれないけれど、当たらずとも遠からじではないか。
すっかり前置きが長くなってしまったけれど、本題は2017年12月にマイナーチェンジを受けたトヨタ・ヴェルファイア。「駕篭の後継」という目で見ると、なかなか興味深いモデルだった。...