むしろ紳士的である
好戦的なエアロパーツで身を包んだ「ランボルギーニ・ウラカン ペルフォルマンテ」。独ニュルブルクリンクの北コースを量産車最速(計測当時)のタイムで駆け抜けたと聞けば、その走りはさぞや“レーシー”と誰もが思うだろう。しかしてその実体は……?
ニュルブルクリンクで新記録
GTレースシリーズから抜け出してきたようなルックスもその名前も、いかにもやる気満々と考えて当然な最硬派モデルが2017年のジュネーブショーで発表されたウラカン ペルフォルマンテである。その効能書きには、640psにさらにパワーアップ(従来比+30ps)した5.2リッターV10エンジンを、フォージド・カーボンファイバー素材を多用して軽量化したボディーに搭載。さらにはエアロダイナミクスにも磨きをかけて、ついでにニュルブルクリンク旧コースで市販スポーツカーとしての最速記録を樹立した、と並んでいる。こう聞けば、誰だってこれまでで最も高性能、かつスパルタンでレーシーなスペシャルバージョンであることを覚悟すると思うのだが、意外や実際に一般道を走りだしてみると、実は「パフォーマンス」を名乗るこのペルフォルマンテこそ、最も洗練されているウラカンではないかと実感した。
モータースポーツから距離を置くのがランボルギーニの家訓だったのは昔の話。今では世界中のGTレースで活躍中のうえに、ニュルブルクリンクでの最速競争にも名乗りを上げ、2016年にウラカン ペルフォルマンテが6分52秒01という北コースでの量産車最速タイムを樹立してみせたニュースは記憶に新しい。ただし、意地を見せた「ポルシェの911 GT2 RS」によってその記録は2017年に塗り替えられたものの(6分47秒3)、ペルフォルマンテの速さには疑いの余地がないことを証明してみせた。
といってもペルフォルマンテは、ガチガチに締め上げられたタイムアタック専用モデルではない。それどころか、前述したように快適性が犠牲になるどころか、一般道でもきわめて落ち着いた、洗練されたマナーを持ち合わせている。もっとも、考えてみればそれも当然で、ニュルブルクリンク旧コースは、路面もグランプリサーキットのように平滑ではないからこそ、リアルワールドの道を走るスポーツカーの開発に最適な聖地と呼ばれるのであって、そこでタイムを出すにはきちんとストロークして路面を捉えるサスペンションが必要だ。
ニュルブルクリンクでタイムアタックの経験がある本職のレーシングドライバーの話でも、硬くストロークしないサスペンションではとても北コースで記録を出すことはかなわないという。細かく小さな入力から、速い大入力まで同じように一発で吸収して、路面とのコンタクトを失わないようなホイールコントロールが肝要である。パワー、エアロダイナミクス、トラクション性能の三拍子そろっての“サブ7分”である。...