そこにはファン・トゥ・ドライブがある
「ロールス・ロイス・ファントム」がフルモデルチェンジを果たし、8代目に移行した。新型は外観こそまがうかたなきロールス・ロイスだが、新設計のアルミアーキテクチャーが用いられるなど、新時代の幕開けを感じさせる内容となっている。スイスで試乗した。
まずはオーナー疑似体験から
1925年に登場以来、常に“世界最高のクルマ”であり続けた、ロールス・ロイス・ファントム。BMWグループ傘下となってから登場したファントム7も、優れたパフォーマンスと威風堂々たるスタイリングで世界中のビリオネアたちをうならせてきた。14年ぶりのモデルチェンジとなったファントム8を、スイスの湖畔リゾートで試す。
ロールス・ロイスの国際試乗会ともなれば、空港に降り立ったときから“特別”だ。出口で待ち構えていたスタッフの後についていけば、その先にはロールス・ロイスの姿が見えるはずである。今回は新型ファントムの試乗会ということで、チューリッヒ空港から会場であるフィッツナウまでの水先案内車は「ゴースト」と「レイス」だった。
レイスの後席は、実をいうと素晴らしい。極上のGTカーは前後のパッセンジャーも分け隔てなくもてなすもの。2ドアだからといって、まるで窮屈さはない。むしろ、適度な包みこみ感が安堵(あんど)を生み、滑らかな乗り心地が睡魔を誘う。
ルツェルン湖に面した豪華なホテルに到着した。ファントムの試乗会ともなれば、クルマの説明を聞いて乗ってハイおしまい、ではない。木製ボート工場見学や時計工房体験、チョコレート製作、ヘリコプター散策、ピカソコレクション見学、ワインセラーツアー、スパ、などなど、実にさまざまなアクティビティーが用意されている。ロールス・ロイスの後席を堪能しながら、そういった特別な経験を味わう。要するに、ロールス・ロイスのオーナー疑似体験、という趣向である。
“パークホテル”で極上の睡眠をむさぼった翌朝、14年ぶりにモデルチェンジしたファントム8の試乗会がようやく始まった。筆者とコンビを組むのは台湾から来たジャーナリストのエンツォ・ウさん。割り当てられたのは、ホワイトとカッパーゴールドの粋派手な2トーンカラーでコーデされたノーマルボディー(それでも全長5.8mでホイールベースは3.5mもある)だった。...