世の中をあっと言わせる偉業を成し遂げた人は、自分の仕事をどう捉えていたのか。サラリーマンでありながらサンダンス映画祭で日本映画史上初のグランプリを受賞し、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』を上梓した長久允氏の思考から辿ります。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
「正しいやり方」を探すのがうまい人
仕事ができる人ほど、「正しいやり方」を探すのがうまいものです。
成果を出している人の方法を学ぶ。過去にうまくいった型を調べる。評価された資料を参考にする。上司やクライアントが納得しやすい言葉を選ぶ。
そうやって、失敗の確率を下げ、一定以上のクオリティに早く到達できることは、ビジネスパーソンにとって貴重な素質かもしれません。
けれど、それがうまい人ほど、あるところから苦しくなることがあります。
自分の感覚にふたをしている
型通りにやっているのに、なぜか自分の企画にならない。資料は整っているのに、どこか弱い。
会議では説明できるのに、自分でも心から面白いと思えていない。
そんな現象が起きることがあるかもしれません。むしろ、正しいやり方を探す力があるからこそ、自分の感覚が外に出る前に、誰かの型でふたをしてしまっているのかもしれない。
長久允さんの『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』には、それに通じることが書かれています。
「何にも似ていない」ことが価値になる
これまで私たちは、正解を当てることで褒められてきました。
しかし新しいものやおもしろいものが求められるビジネス世界では、必ずしも既存の正解だけが成功の近道ではありません。
正解に合わせることを優先しすぎると、自分が何をおもしろいと思っているのか、どこに引っかかっているのか、何を本当に届けたいのかが見えにくくなっていきます。
長久さんがサンダンスでグランプリを獲った際のことをこう振り返るように、自分を消さずにいることが健全に成功するための方法なのかもしれません。
「正しいやり方」に自分を合わせすぎないこと。
どれが正しいかではなく、自分の考えがいちばん生きるやり方はどれか。その問いを持てるかどうかで、仕事の質は変わっていきます。
未来は明るい
長久さんは、映画づくりの未来についても、こう語っています。
道具や環境が変われば、表現の仕方も変わります。誰かが決めた正しい順番や大きな仕組みに従わなくても、自分の感覚を形にできる可能性は広がっています。
技術の進歩がめざましい中だからこそ、誰かの成功法則をそのままなぞるだけではなく、自分の力がいちばん出る方法を見つけることが大切になっているのではないでしょうか。