スタイリッシュな実力派
フォルクスワーゲンの新たなフラッグシップモデル「アルテオン」。流麗な5ドアクーペのスタイリングをまとったニューカマーの実力を、アウトバーンを中心にドイツの一般道で試した。
夢が見られるかどうか
「アウディA5スポーツバック」や「ポルシェ・パナメーラ」が人気のけん引役となった5ドアクーペというジャンル、ヨーロッパでは引き続き好評のようで、「アウディA7スポーツバック」、BMWの「グランツーリスモ」や「グランクーペ」、「アストンマーティン・ラピード」などがいまもマーケットを賑(にぎ)わせている。
セダンの居住性と走行性能、2ドアクーペを思わせるスタイリング、ワゴン並みの多用途性をあわせ持つところが5ドアクーペの魅力だろうが、それらとともに、通常のセダンやワゴンでは味わえない華やかさ、ラグジュアリーさもファンを惹(ひ)きつける原動力となっているように思う。実際のところ、強い存在感を示している5ドアクーペの多くはプレミアムブランドが手がけた製品。純粋な実用車とはひと味異なる5ドアクーペの向こう側に、アクティブでゴージャスな非日常的世界が垣間見えるからこそ、人々はA5スポーツバックやBMWグランクーペなどを購入するのかもしれない。
ひるがえって、日本における5ドアクーペの歴史は意外に長く、1980年代には「三菱エテルナ」、「トヨタ・スプリンターシエロ」といったモデルがいち早く登場していたが、ひとつのジャンルとして定着するまでには至らなかった。その要因はさまざまだろうが、理由のひとつに、日本製5ドアクーペがファンに「夢を見せられなかった」ことがあるような気がする。つまり、スタイリングやブランド性といった部分で顧客を強く惹きつける力を持ち得なかったから、日本車の5ドアクーペは確固たる地位を築けなかったとも考えられるのだ。...