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スタートアップとして大きなイノベーションを起こしたいなら、どこを狙うべき?


スタートアップが成功できるか、失敗して消えてしまうか? それを決めるのは、Product Market Fit(PMF:プロダクト・マーケット・フィット/市場で顧客に愛される製品・サービスを作ること)を達成できるかどうかにかかっている。『増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2』(田所雅之著、ダイヤモンド社)は、起業家の8割が読み、5割が実践する起業本のベストセラー『起業の科学』を9年ぶりに大改訂した最新版。本連載では同書から抜粋して、スタートアップの成長を加速するポイントについて、わかりやすくお伝えしていきます。

進化が止まっている領域は?

ベストなタイミングを掴むための一つの考え方として、プロダクトの進化が止まっている領域を探してみるのもいい方法だ。

進化が止まっている原因は規制かもしれないし、既存のプレイヤーが市場を圧倒的に独占して、競争が起きにくい環境になっているからかもしれない。市場を注意深く観察すれば、エンドユーザーが不当に既存の凡庸なサービスやプロダクトの使用を強いられている領域はいくらでもある。

たとえば、私たちが何気なく使っている表計算ソフトはMicrosoftの「Excel」がほぼ標準になっていて、ここ30年ほとんど進化をしていない(細かい進化はしているが、基本的なコンセプトは変わっていない)。

全員が満足しているわけではないのに、みんなが使っているからという理由だけで市場を独占し続けている。

スタートアップのメンバーが共同作業をするには、Googleの「スプレッドシート」のほうがWebブラウザで使えて、複数の人が同時編集できるなどはるかに使い勝手がよい面がある。

しかし、大企業などでは、いまだにExcelばかりが重宝されている。大企業が使っているため、大企業と取引をする中小企業もExcelを活用せざるを得ず、結果として、大多数の人のPCにExcelがインストールされている。

スタートアップとして大きなイノベーションを起こしたいなら、そのような硬直化した領域を探し、風穴を開けて「市場を再定義するプロダクト」を投入していかないといけない。

その市場を再定義できるか?

そもそも既存のパラダイムに思考がとらわれていると、市場を再定義するようなアイデア自体、湧いてこないだろう。そのため、自分のアイデアに対して「市場を再定義できそうか」と繰り返し問うことは、始めようとしている事業の潜在能力を検証するのに大いに役に立つ。

睡眠ウェア市場は長年、従来のパジャマが主流で、科学的根拠に基づく機能性はほとんど存在していなかった。

そこで株式会社TENTIALのリカバリーウェアは特殊機能繊維「SELFLAME(R)」を使用し、身体から発せられる遠赤外線を輻射して血行を促進。入眠時・睡眠初期において発汗量の増大から深部体温の低下により効率的な睡眠導入を実現。睡眠後半でも低い深部体温が維持され、快適な睡眠が持続する。Bakuneはパジャマを進化させた。

市場を再定義するということは、時代の文脈を読み解くことに他ならない。

つまり、「なぜ今なのか?(Why now?)」という問いに直結する。

長年変わらなかったピックアップトラックが今再定義されているのは、要素技術のコストが劇的に下がり、EVが一般的になったからだ。

睡眠促進ウェアラブルがアップデートできたのも、ハードウェアの価格低下が背景にある。

このように、技術的な転換点が新しい市場機会を生み出している。

「今」という絶好のタイミングで市場に参入することが、スタートアップの命運を分けるからだ。

(本稿は『増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2』の一部を抜粋・編集したものです)

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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