やさしい悪魔
最高出力600psオーバーのターボエンジンを搭載する「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+」に試乗。メルセデスが送り出してきたミッドサイズセダンの中で最速とされる、高性能モデルの走りを報告する。
尋常ならざるスペック
メルセデス・ベンツEクラス史上最速モデル! 最高出力612ps! 0-100km/h加速3.4秒! 2017年5月に日本で発売となったE63 S 4MATIC+はどんだけモンスターであるのか。筆者はそのことを思うと大変ワクワクした。
その昔、「300SEL 6.3」と、その後継の「450SEL 6.9」という高性能モデルがメルセデスにあった。筆者は450SEL 6.9の助手席に乗ったことがあるだけだけれど、のちに聞いた話によれば、1960〜70年代に登場したこの2台、排気量の大きな6.9のほうがより“ものすごい”と思いきや、6.3のほうが豪快だった。アクセルの踏み加減でタイヤのトレッドがアッという間になくなったという。
真実かどうかは不明ながら、技術の進歩が450SEL 6.9をよりまっとうにした、という想像はできる。300SEL 6.3は当時のメルセデスの標準ボディーに「600」のV8エンジンを押し込んだ元祖モンスターであり、AMGはこの300SEL 6.3をレースカーに仕立てて、1972年のスパ・フランコルシャン24時間に参戦、クラス優勝を飾ったことから伝説の第一歩を踏み出した。その血脈に連なる最新AMGがE63 S 4MATIC+なのである。
それにしても612psというのはスゴイ。スーパーカーの「ポルシェ911ターボS」でさえ580psである。それを30ps以上も上回る。さすがに0-100km/h加速ではターボSに負けるものの、同3.9秒の「カレラS(PDK)」を置き去りにする。
ちなみにカレラSは1584万1000円。E63 S 4MATIC+は1785万円で、「カレラGTS」の後輪駆動の1788万円よりもちょっぴりお求めやすい。それでいてE63 S 4MATIC+は、0-100km/h 3.7秒のカレラGTSよりも速いのである。机上の比較にすぎないとはいえ、もうどんだけ速いのか、と期待は高まるばかり。...