進化は次のステージへ
大幅な改良を受けた「アウディe-tron GT」のなかでも、とくに高い性能を誇る「RS e-tron GTパフォーマンス」に試乗。アウディとポルシェの合作であるハイパフォーマンスな電気自動車は、さらにアグレッシブに、かつ洗練されたモデルに進化していた。
“2巡目”に入った欧州のBEV戦略
環境にまつわる極端な言動や、政治的方針に振り回された感のある欧州のBEVシフト。需要的に踊り場といわれる現在、彼らがそのツケに苦しんでいるのは周知のとおりだ。他方、マルチソリューションを標榜(ひょうぼう)していた日本のメーカーについては、それを引き合いに過去の評価を正すような話が耳目に触れることも多い。
個人的にも日本が選んだ方向性はまったく間違っていないと思う。が、もはやその優劣に一喜一憂するような段階でもない。長い目でみればBEVが普及途上にあることは間違いなく、産みの苦しみを味わっている欧州勢が着々とリアルワールドでの知見を積み上げていることも確かだ。輸入されたばかりのモデルが、日本のCHAdeMO規格の充電器で理論値に近い電気をぐんぐん飲み込んでいくのをみると、攻めた閾値(しきいち)の設定や電流管理に経験則が役立っていることが察せられる。
経験則でいえば、日本のメーカーはこういったソフト面ほどの差異はなくとも、ハードの熟成という面も意識しなければならない段階にきているように思う。というのも、欧州勢は既にマイナーチェンジや実質的なフルモデルチェンジを経て、需要的にも“2巡目”に入りつつあるからだ。
そういう懸念が頭をよぎるほど、大きな変貌を遂げていたのがアウディのe-tron GTだ。BEV化に積極的なビジョンを打ち出していたアウディにとって、2番目のBEV専用車となるこのモデルが上市したのは2021年(その1、その2)。そして約4年ぶりのマイナーチェンジを受けて日本に上陸したのが2025年8月という時系列になる。ご存じの方も多いだろう、「J1」と呼ばれるアーキテクチャーをe-tron GTと共有する「ポルシェ・タイカン」は2024年にマイナーチェンジ済みだ(参照)。...