ウルトラ人馬一体
最高出力1079PSを誇るアストンマーティンの新型車「ヴァルハラ」が、いよいよ生産体制に入った。F1で培った技術も投じて開発された“プラグインハイブリッド・ハイパーカー”の走りやいかに? 西川 淳がリポートする。
開発する場も最高峰
ところはシルバーストーンサーキットの“レース村”。奥へと進むとひときわ大きくて新しいファクトリー――3つのビルディングからなっている――が見えてきた。有名なウイングロゴと「ARAMCO」の文字が入った大きな看板の脇を入っていく。
そう、ここは2年前の2023年、ブランド110周年の節目にオープンしたアストンマーティンのF1ファクトリーである。
最も大きな建物にはコンポジットセンターやアッセンブリールームなどが入り、真ん中の小さな建物(それでもこのビルだけで以前の2倍はある!)には最新鋭のシミュレーターや作戦会議室がおかれ、最も奥にはこれまた最新の60%風洞トンネルが入っている。要するにここは“たった2台のクルマ(といってもF1マシンだが)を走らせる”ためだけにつくられた、世界で最も進んだファクトリーであった。
最も大きな建物に戻ると、その2階には何百人ものデザイナーが画面に向かって日々、デザインを更新する部屋がある。中央にはエイドリアン・ニューウェイの部屋があり、原寸大のF1マシンを描いたウォールペーパーが貼られていた。この一角だけ、見事にアナログ。私が訪れた際には、たまたまエイドリアン本人が若いデザイナーたちと何事かを話し合っていた。
実はこの建物内で実際にエアロダイナミクスやマテリアルなどを検討したF1以外のクルマがある。それが今回の主役、ヴァルハラである。
ホンダのパワーユニットを得て、来シーズン以降の必勝を期すアストンマーティン。このヴァルハラこそはロードカービジネスの、少なくともブランドの新たな価値創造に向け、実に大きなターニングポイントとなるモデルだと私は思っている。なぜか。...