スポーツクーペより優雅に
「レンジローバー」ファミリーに新たに4番目のモデルが追加された。その名は「ヴェラール」。優雅なスタイリングが自慢のニューフェイスの“フィジカル”を、ノルウェーのオンロードとオフロードで試した。
スタイリングに一目ぼれ
筆者は基本的に、背の高いクルマを好まない。“低過ぎるクルマ”、スーパーカーやスポーツカーなどが好きだ、という個人的な嗜好(しこう)以上に、ミニバンやSUVのデザイン的な表現力の乏しさと、そういうクルマたちがあふれる駐車場の光景に、辟易(へきえき)としているからだ。
ミニバンなら「クライスラー・ボイジャー」や「ルノー・エスパス」で基本シルエットの構築は終わっているし、SUVならいまだにメルセデス・ベンツの「ゲレンデ」か初代「レンジローバー」にトドメを刺す。以降のモデルは、基本的に角を丸めたり落としたり、マスクやディテールに凝って目をそらしてみせたりと、創造力豊かなデザイン進化をみせているとは思えなかった。友人がミニバンなりSUVを買って、筆者を後ろの席に乗せてくれるといった利便性以外に、特別な価値、つまり自分で買う動機となるような何か、を見いだせずにいたのだ。
そんな筆者が、スーパーカーの新作披露会を目当てに毎年通う今年のジュネーブショーにおいて、想定外に歩みを止めて、飽きずに眺めた1台のSUVがあった。
それが、このレンジローバー ヴェラールだ。英国人の発音を聞いていると、ヴェラ〜(〜は舌を巻いている)としか聞こえないが、それはともかく、ブースのど真ん中にルーフを見せつけるよう傾けて展示されていたヴェラールの姿に、ヒトメボレした。
2ボックス形状のSUVが、これほど美しく見えたことなど、いまだかつてないこと。シンプルな面の構成、余計なキャラクターラインが入らず、かすかに丸みを帯びたまま後方へと潔く伸びてゆくその肢体は、昨今の“ウオッチ・ミー・アップ”なスポーツクーペよりも断然になまめかしく、優雅でさえある。それでいて、ちゃっかりレンジローバーのヘリテージを盛り込んだ。なにしろ、その名は初代レンジのプロトタイプに由来する。
これなら、積極的に乗ってみたい。SUVを買う必要に迫られていたならば、第一の候補になりうる。そう思ったものだった。...