美しく走る
BMWアルピナが紡いできた、60年におよぶ歴史の最終章を飾る「B3 GT」が上陸。「BMW M340i」をベースに、従来型よりも出力を向上させた「M3」由来のS58型3リッター直6ツインターボと、進化したシャシーで磨き上げたというその走りやいかに。
歴史の最終章を飾るモデル
すでに報道されているように、アルピナという自動車ブランドは2025年いっぱいでBMWに譲渡される。今後もアルピナの名を冠したモデルはBMWのラインナップに残るものの、家族経営のアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社とそのエンジニアたちがブッフローエの拠点で開発を行う従来のアルピナ車は、B3 GTと「B4 GT」が最後ということになる。
アルピナの60年におよぶ歴史の掉尾(ちょうび)を飾るモデルにGT、すなわちグランドツアラーという名称を与えたことからは、彼らがどういうクルマをつくりたいのか、あるいはつくってきたのかが伝わってくる。B3 GTには、「ツーリング」(ステーションワゴン)も用意されるが、今回試乗したのは「リムジン」と呼ばれる4ドアセダンだ。
「日産GT-R」に乗ったときにも感じたけれど、「これで最後か」と思いながら試乗するのは、なかなか感慨深いものがある。ドアを開けて運転席に乗り込んで真っ先に気づくのは、シフトセレクターの形状がベースとなる現行型「3シリーズ」とは異なることだ。現行の3シリーズはコンパクトなトグル式になっているけれど、B3 GTはセンターコンソールから垂直に屹立(きつりつ)する、クラシックなスタイルを採用しているのだ。
シフトパドルが「オロ・テクニコ」と呼ばれるゴールド系のカラーになっているほか、この色が挿し色として各所に使われている。ただし外観と同様、「どないだー!」とアピールするような派手な装飾はない。アルピナというブランドの主張は控えめで、見た目ではなく中身で差別化を図りたいというスタンスが見て取れる。
スターターボタンをプッシュすると、S58という型式名で呼ばれる、「M3」や「M4」に積まれるものと基本的には同じ3リッターの直6ツインターボエンジンが静かに目を覚ました。...