クラウンらしさの未来
「エステート」の登場でモデルラインナップがようやく完成した16代目「トヨタ・クラウン」。せっかく完成したのだからということで、4モデルをとっかえひっかえドライブしてみた。クラウンとしての共通点とモデルごとの個性をリポートする。
「静粛性」「快適性」「上質さ」
クラウン エステートの試乗会は朝の8時半から夕方5時半までの9時間というスケジュールだった。異例の長丁場になったことには理由がある。エステートのほかに「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」も会場に並べられ、「クラウン群」4台が初めてそろうお披露目の場でもあったのだ。16代目クラウンの発表があったのは2022年7月で、第1弾のクロスオーバーの発売が同年の10月。3年かかってようやく全体像が明らかになった。
それぞれのモデルについては、すでに多くの試乗記などで紹介されている。仕上がり具合や特性が詳細にリポートされてきたが、4台のクラウンがいかなるコンセプトで成り立っているのかを知る初めての機会だ。試乗に先立って行われた概要説明で、4台の位置関係が図示された。基本的な考え方として、全体を通じて共有される“クラウンネス”が「静粛性」「快適性」「上質さ」だという。クラウン群の統一性を保ちながら、各モデルに個性がプラスされる。
クロスオーバーは「リフトアップしてもセダンの走り」、スポーツは「硬いだけがスポーツではない。俊敏な走り」、セダンが「上質、快適の追求」、エステートが「長距離でも疲れない。移動時間の質を高める」という説明だ。それが、多様化するニーズに応えるためのラインナップということになる。セダンは「New Formal SEDAN」で、クロスオーバーは「セダンとSUVの融合」、スポーツは「新しいカタチのスポーツSUV」、エステートは「ワゴンとSUVの融合」をうたっていて、4台のなかでセダンだけが明らかに別の表現だ。それには機構的な根拠もある。SUVを名乗る3台がFFベースの4WDで、セダンは後輪駆動のプラットフォームを用いている。
4台でクラウンのコンセプトを担っているということなのだろうが、そのなかでも中心的存在があるはずだ。一番クラウンらしいのはどのモデルでしょうかとエンジニアに尋ねたら、それはセダンだという答えが返ってきた。1955年にデビューして以来クラウンが日本を代表する高級セダンと認識されてきたのは事実である。しかし、今回のセダンはほかの3台とは異質な成り立ちであり、最初に登場したのはクロスオーバーだった。もともと16代目クラウンはセダンを廃止するのではないかといわれていたわけで、実際に当初の提案はSUVだったことが公にされている。その後にセダンも開発されることになったのだ。...