比類なきスポーツカー
「ポルシェ911」が992世代の後期型(通称:992.2)へとアップデート。改良のたびに「最新こそ最良か?」と問われるポルシェもたまったものではないが、スポーツカー受難の時代だけに「まさか!?」の事態があるかもしれない。「911カレラ カブリオレ」で検証した。
絞り出すようなパワーアップ
欧州の排出ガス基準強化の波は、いよいよ車両側に具体的な影響を及ぼし始めた。2024年9月以降、欧州域内で出荷される新車から適用されたユーロ6eは燃焼のリーン化によるCO2削減という主目的に相対するようにNOxの大幅低減を迫っており、浄化のための排気まわりの改善が不可避とされる高性能エンジンには特に逆風が吹いている。
それはアウトプット等の数値にも表れ始めており、例えばBMWでは「M135」「M235」が搭載する4気筒ターボが、そしてポルシェにおいては最新の「911 GT3」が搭載する自然吸気のフラット6が前型に対してわずかながらスペックを落とした。内燃機キラーと称されるユーロ7の発効は2026年末の予定だ。それでなくても電動化で汲々(きゅうきゅう)としているなか、市場競争力の低下を懸念する自動車メーカーの声も多々聞かれるが、欧州委員会が譲歩する気配は今のところない。2000年代以降は青天井だったパワーウォーズも、内燃機のみでは戦えない新たな局面に入りつつある。
そんななか、最新の911カレラは若干ながらもパワーアップに成功した。トルクは据え置きだが発生回転域はわずかに高い2000rpmからとなっている。特に排気側に厳しい規制のなかで、ターボユニットが額面的に伸長することは相当難しいことだ。看板への期待を落胆に変えることは許されないというポルシェの意地が、その数値からは伝わってくる。ちなみに0-100km/h加速も4.2秒から4.1秒と、わずかではあるが速くなった。数値化された性能が後退しないことはスポーツカーにとって少なからず大事なことだ。律義なポルシェはそれを忠実に守ってもいる。...