チャンピオンのままの引退
「メルセデスAMG A45 S 4MATIC+」に最後の限定車「ファイナルエディション」が登場。まずはそのいでたちに目を引かれるが、真に注目すべきはライバルの追随を許さない走りのパフォーマンスである。名残惜しいのは間違いないが、王者の引き際をこの目で見届けた。
何のファイナル?
冠婚葬祭の場に乗っていくのは少々はばかれる様相のこのクルマ、メルセデスAMG A45 S 4MATIC+ファイナルエディションと名乗っている。注目すべきは「ファイナルエディション」で、資料には「メルセデスAMG A45 S 4MATIC+、最後の限定車」と書かれている。A45 S 4MATIC+そのものは既発の仕様であり、これまでに数々の限定車も登場してきた。だから「最後の限定車」は確かにそのとおりなのだろうけれど、「最後」にはもうひとつ、重要な意味が含まれていると想像している。「最後」なのは「限定車」だけでなく、「Aクラス」そのものにも該当するからだ。
現在、エンジンを横置きにしたFFベースのメルセデスには“A”と“B”があり、このアルファベットを冠するモデルはAクラスのほか、「Aクラス セダン」「Bクラス」「GLA」「GLB」「CLA」「CLAシューティングブレーク」などがある。いっぽうで、これまでも何度かお伝えしてきたように、メルセデスはこれらのいわゆる“エントリーモデル”の整理に着手する。2025年中にはまったく新しいプラットフォームを採用する次期CLAの登場が予告されており、同時にシューティングブレークと2種類のSUVの兄弟車の存在も明らかになっている。ここからはあくまでも勝手な予測なのだけれど、シューティングブレークは現行のCLAシューティングブレーク、2種類のSUVはGLAとGLBの事実上の後継車だろう。そうなると、Aクラス、Aクラス セダン、Bクラスは現行モデルが「最後」ということになるわけだ。
好燃費が期待できて、メルセデスにしてはリーズナブルな価格で数を稼いで利益を出す。AやBにはそんな役目があったが、どうやら思った以上の利益は出せなかったようで、メルセデスは戦略を変更したといわれている。次期CLAも当初は電気自動車だけの予定だったが内燃機関のハイブリッドも併売することを余儀なくされた。劇変する自動車マーケットを取り巻く環境に対応するには、速やかな戦略変更も必要なのだろう。...