お金では買えないもの
中国BYDの最大の武器は圧倒的な低価格。新型車「シール」でもそれは同じで、システム出力530PSの「シールAWD」が572万円というのは思わず二度見するレベルだ。ドライブした印象をリポートする。
中国製BEVの総代
Dセグメント系FFセダンにほど近い車格が物語るとおり、シールは「ATTO 3」と並び、BYDの世界戦略車として開発された。欧州では先に販売されており、いくつか目にした外誌のインプレッションでもおおむね高評価だ。米国では展開されていないのはお察しのとおりで、欧州を含め、何かと政争の標的となってしまうのは致し方ないところだろう。言い換えれば中国製電気自動車(BEV)の総代として、その破壊力を警戒されているということでもある。
ならば……というわけでもないだろうが、近年はアジアパシフィックや南米、アフリカなどへも進出の手を広げ、乗用車カテゴリーのBYDブランドは約60カ国で展開されている。日本もそのうちのひとつなわけだが、シールはATTO 3、そして「ドルフィン」に次ぐ第3のモデルとしてこの6月に発売された。
モデルラインナップは1モーターのRWDと2モーターのAWDの2つを用意。搭載するバッテリーはともに容量82.56kWhのBYD自慢のブレード形状LFP=リン酸鉄系リチウムイオンバッテリーとなる。RWDはWLTCモードで640kmの航続距離を誇る一方、AWDは0-100km/h加速3.8秒といかにもBEV的な動力性能が自慢となるだろうか。ポルシェに当てはめれば「911カレラ4S」級の瞬発力が得られるAWDがある一方で、十分以上の動力性能と航続距離が期待できるRWDが528万円から手に入るというのがシールの強みだ。...