オッカムの剃刀
全長4.3m超のボディーサイズにして200万円台という価格が話題を集める、ホンダの新型SUV「WR-V」に試乗。タイで開発を行いインド工場で生産されるグローバルモデルの走りを、2024年3月の発売を前に、ホンダの栃木プルービンググラウンドで確かめた。
これまでとは異なる立ち位置
もしかしてフロントグリルに「H」マークが入っていなければ、ホンダ車と思う人は少ないのでは? 誤解を恐れずに言えばそれがWR-Vの実車を前にしての第一印象だった。分厚いフロントグリルが直立し、このパートだけですでにタフなSUVをイメージさせる。前後のオーバーハングは短く、都会派として市民権を得ているいまどきのクーペライクなSUVと一線を画すフォルムは、武骨と表現してもいい。
高く配置したベルトラインと厚みのあるボディーサイド、面積の小さなグリーンハウス、そして台形のフェンダーアーチにクラッディングといったパートは、WR-Vの明確なデザインキューだ。スポーツカー顔負けのシュッとしたモデルがSUVブームのメインストリームを行くなかで、WR-Vはちょっと違った方向を向いた個性派である。
そうした“ホンダらしくないフォルム”にあっても、ボンネット先端に備わる控えめなメッキ加飾とその下に配置されるヘッドランプには、かすかにホンダテイストを感じることができる。そこからは北米市場で人気のミドルクラスSUV「パスポート」や大型SUV「パイロット」に共通するイメージも漂う。しかし、重ねて言うが、日本のホンダディーラーに並ぶモデルとは異なる立ち位置が見えてくる。
そしてもうひとつ。WR-Vにおけるトピックに車両価格がある。WR-Vはエントリーモデルの「X」が209万8800円、中間グレードに位置し量販モデルになるであろうと想像できる「Z」が234万9600円、最上位グレードの「Z+」が248万9300円という設定である。
ホンダ関係者によれば、「コンパクトSUVという触れ込みとこの価格帯から、お客さまからは『ダイハツ・ロッキー』『トヨタ・ライズ』のガチの対抗馬と見られます」とのことだが、車格は明らかにWR-Vが上。同車が店頭に並べばそうした“誤解”も解消されるだろうが、全長×全幅×全高=4325×1790×1650mmというボディーサイズだけをみれば、同門の都会派SUV「ヴェゼル」と食い合いしないかと余計な心配をしたくなるサイズ感だ。...