スゴいとしか言いようがない
ヤマハのネイキッドスポーツである「MT」シリーズの、フラッグシップにあたる新型「MT-10」。リッタークラスの4気筒エンジンを搭載したハイエンドな一台は、圧倒的なパフォーマンスを備えながらも、同時に幅広いライダーが走りを楽しめるマシンに仕上がっていた。
まずは加速に驚かされる
ヤマハMT-10は、要は同社の「YZF-R1」のカウルを剥がしてバーハンドルを与えたネイキッドモデルである。1405mmのホイールベースはそのままに、スーパーバイクゆずりの1リッター4気筒をストリート向けに仕立て直して、さらにクルマで言うファイナルギアレシオにあたる2次減速比を落としてダッシュ力にますます磨きをかけた。ノーマルモデルで212kg、今回の試乗車となった「SP」バージョンで214kgのボディーを、166PS/1万1500romの最高出力と112N・m/9000rpmの最大トルクでカッ飛ばす。
2022年にモデルチェンジを受けてさらに小顔になった「MT-10 SP ABS」にまたがって、「これはまあ、『スゴい!』としか言いようがないのではないでしょうか」と予想しながらクラッチミートして走り始めると、うーむ、なるほど、スゴい。まずは荒ぶるエンジンがスゴい。シュイィィィン……と脳天を突き抜けるかのようにスムーズに回転を上げるマルチシリンダーを想像すると、さにあらず。クロスプレーンエンジンの不等間隔サウンドと振動に合わせて、リアタイヤがかきむしらんばかりに地面を蹴飛ばして、にわかオーナーとなったライダーをおびえさせる。右手の微操作にかみつかんばかりに反応する電制スロットルのレスポンスにもあきれるばかり。トルクの塊にバイクともどもさらわれていく。...