この週末は旅に出よう
アウトローの香り漂う「インディアン・スカウト ローグ」に、排気量2.5リッターのモンスター「トライアンフ・ロケット3」、ボクサーツインが旅情をかき立てる「BMW R1250RS」……。JAIA二輪輸入車試乗会で、個性豊かな3台のツアラーの魅力に触れた。
週末に“不良”を楽しむ大人の相棒 インディアン・スカウト ローグ
語彙(ごい)の乏しさをさらすようだけど、今回のJAIA試乗会で乗ったモデルのなかで最もヤバいヤツだった。なにしろ車名の“ローグ(ROUGE)”が悪党だのゴロツキだのならず者だのを意味するってんだから、どうにもこうにもソッチ系だ。
2000年代に入り復活を遂げた、もうひとつのアメリカンモータサイクルがインディアン。そのラインナップのなかで4種を有するスカウト・グループに属する一台が、スカウト ローグだ。エンジンのヘッドカバーからマフラーに至るまでブラックアウト仕上げとなるのはこのローグのみで、なおかつ試乗したのはフューエルタンクまで真っ黒ともなれば、これほど完璧な世界観を演出したマシンは稀有(けう)と言っていい。
別の見方をすれば、カスタム感が強いのだ。あまりにも特定の嗜好(しこう)に偏っている。だから相当に個性の強い個人の所有物以外には見えなくなる。逆説的には、そこまでパーソナライズされたモデルを市販化したインディアンの思い切りのよさに、感動すら覚える。エンジンブロックの縁の地肌をあらわにするようなエッジ加工も、ヘッドカバーまでブラックにしたことで一層さえている。これ、本当にヤバい。
一方、見た目のワル感とは裏腹に、乗り心地というか操縦感覚は驚くほど素直だ。巨大なラジエーターを備えた水冷Vツインの1133ccエンジンは、95PSという十分なパワーを持ちながら、暴力性よりはスムーズネスが勝っている。そしてまた、直線番長っぽいロングホイールベースの車体ながら、おそらく街なかで乗っても過不足なく曲がれる、低重心からくる安定したハンドリング特性も持ち合わせているように感じた。ニヤッとなったのは、ミニエイプと呼ばれるハンドルバーのセッティングだ。身長175cmのテスターにちょうどよい高さにグリップがきて、「これってオレのため?」と勘違いしそうになった。
言葉を選ばずに言えば、乗りやすい。なのに見た目がヤバい悪党。もしあなたが宿敵との抗争から逃れる手段に1台の乗り物を選ぶなら、スカウト ローグほど劇的かつ頼れる相棒はいないかもしれない。ここでの宿敵は平日の退屈としようか。週末のみ不良を楽しむ分別ある大人に、ぜひ!
(文=田村十七男/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)...