暗黒面の誘惑
ダークな装いと、ロールス・ロイス独創のスポーティネスを備えた「ブラックバッジ・ゴースト」。ピュアなラグジュアリネスを追求したベースモデルとは一線を画す“もう一台のゴースト”は、究極のテクノロジーが実現する、あらがいがたい魅力を秘めたモデルとなっていた。
融合する2つの価値観
2016年にビスポークとして導入されたブラックバッジは、いわく「服従を嫌い、わが道を行く人々のためにある」という。単なるラグジュアリーでは満足できず、自分のなかにあるダークサイドを引き出したいという欲求に応えるもので、ある種、破壊的な表現がなされている。極めて個性的で従来とは違ったユーザーに向けたものであり、当初はさほど多くの層がいるとは思えなかったが、いまではブラックバッジが用意された車種の販売台数に占める割合はグローバルで27%、日本ではなんと52%にものぼるという。
2020年に登場した2代目ゴーストは、「ポスト・オピュレンス」(脱・ぜいたく)がテーマで、リダクション(削減・縮小)とサブスタンス(本質)が特徴。これ見よがしなぜいたくではなく、削(そ)ぎ落とすことで本質を追究するミニマリズムな考え方といえるだろう。このたび登場したブラックバッジ・ゴーストは、そのミニマリズムを強調したり、あるいは覆い隠したりしてダークに表現したという。
ロールス・ロイスの象徴である「スピリット・オブ・エクスタシー」や「パンテオングリル」、バッジ、エアインテーク、トランクフィニッシャーなどは、クロームメッキのプロセスに特殊なクローム電解質を導入して仕上げをダークにしている。専用の21インチホイールは強度を高めるためバレル部はカーボンファイバーを用いた複雑な構造となっているが、それが機能美としても表れている。スタンダードは19インチなので、ホイールだけでもかなり印象は変わる。...