ありがたき出来栄え
プレミアムSUVの開祖であり、いまだにその中心にあり続ける「ランドローバー・レンジローバー」。その実力を確かめんと信州の雪中行軍に臨んだのだが、冬の山道をあっけなく踏破する盤石のパフォーマンスに、筆者はただただ感服するしかなかった。
今なお孤高の存在
2023年の今年、ランドローバーは誕生75周年の節目を迎えている。人の年なら親戚のおじいちゃんを思い浮かべるかもしれないが、4分の3世紀といえばありがたみもひとしおだろう。
第2次大戦後の1948年、ときのローバー社が米軍の小型軍用車「ジープ」に触発されてつくった「ランドローバー・シリーズ1」に始まるその歴史において、明確に新章の始まりを告げたのが、1970年に登場したレンジローバーだ。
軍需や業務向けの供給が主だったシリーズ1(とその改良型の「シリーズ2」)に対して、レンジローバーでははっきりと民生を意識したコンセプトが立てられた。1960年代以降、レジャーユースとしてクロカンモデルがじわじわともてはやされ始め、ジープの「ワゴニア」、トヨタの55型「ランドクルーザー」と、一般ユーザーをターゲットにしたモデルも登場してくる。そうしたなかでレンジローバーが強く意識したのは、静かさや快適さといった上質側の価値軸だ。シリーズ1ゆずりの高い走破性に加え、高級車ばりの設(しつら)えや乗り心地が与えられたことで、レンジローバーはイギリスの富裕層の間で、週末のアクティビティーのお供としてもてはやされた。また近隣の欧州のみならず、イギリス最強の商材でもあるカルチャーが憧憬(しょうけい)の対象であるアメリカや日本でも、その存在がもてはやされることとなった。
21世紀はSUVがブームからスタンダードへと変貌を遂げ、それを持たない自動車メーカーはごくごく限られるほどになった。ランドローバー自身も「ディフェンダー」や「ディスカバリー」「レンジローバー イヴォーク」「レンジローバー ヴェラール」、そしてレンジローバーの車格にほど近い「レンジローバー スポーツ」と、そのバリエーションを広げている。
これほどバリエーションを増やしてもなお、レンジローバーは孤高の存在だった。それは動かさずとも座れば伝わるほどに、だ。...