夢がふくらむ
小山のように大きなこのクルマは「フィアット・デュカト」である。見てのとおりのサイズだけに運転感覚は独特だが、広大な車室をどのように仕立てていくかという夢想は、ほかのクルマにはない楽しみだ。“男の城”を手にした気分を味わってみた。
欧州では景色の一部
デュカトはフィアットの商用車部門となるフィアット プロフェッショナルが手がけるLCV、すなわち小型商用車だ。本国ではこの看板で貨客兼用の「フィオリーノ」や「パンダ」のバン仕様、旧グループPSA系の「リフター」「ベルランゴ」と車台を共用する「ドブロ」のBEVバンなどを販売している。
とりわけデュカトはフィアットオリジナル設計のモデルとして、「プジョー・ボクサー」「シトロエン・ジャンパー」としてOEM供給されるなど、欧州では同カテゴリーの一大勢力となっている。特にイタリアやスペイン、ポルトガル等の南欧地域では、日本で言うところの「ハイエース」や「エルフ」と同じような頻度で見かけ、もう景色の一部と言っても過言ではない。ちなみにこれが北側に向かうに連れ、商用車部門での提携を発表した「フォード・トランジット」や「フォルクスワーゲン・トランスポーター」などの割合が増してくる。
と、そんなモデルをステランティスの日本法人が扱うといううわさを耳にしたときは仰天した。商用車の商売は販売のみならず、架装や保守・点検など売ったあとの手厚さこそが勝負どころであって、おのおのの領域でさまざまな業者が切磋琢磨(せっさたくま)している。つまりガチガチの地場最強ビジネスであって、輸入車が付け入るスキはない。それは日本に限らず、前述の地域でも同様だ。
が、いざ迎えた導入の正式発表で、なるほどと腹落ちした。デュカトは定価が設定されているものの、基本的にB2B商材として現時点で5社の販売ネットワークを介することとしている。それらはいずれもキャンピングカーの製造や販売で実績を持つところだ。つまりデュカトの大半がそのベース車両として扱われることを想定しているというわけだ。それこそハイエースじゃ手狭だけどエルフじゃトラック感がきついといったニーズをくみ取ろうというところなのだろう。...