スーパー万能カー
2033年までにエンジン搭載車の生産を終了すると発表しているアウディのハードコアスポーツモデル「RS 3セダン」に試乗。アウディが長年にわたりこだわり続け磨き上げてきた、直列5気筒エンジンの集大成たるそのパフォーマンスやいかに。
生粋のスポーツモデル
多くのランニングコンポーネンツをフォルクスワーゲン車と共有することで開発の効率を高めながら、それよりもワンランク上級という立ち位置を意識するアウディのエントリーモデルとして、初代「A3」が誕生したのは1996年。そして、その高性能版として2003年に2代目となったA3をベースに生み出されたのが初代「RS 3」だ。手がけたのはアウディの子会社で特別なハイパフォーマンスモデルの開発を担う、現在ではアウディスポーツ社に改称を行った当時のクワトロ社。初めて公開されたのは2011年春のジュネーブモーターショーの場だったから、すでに10年以上の歴史を持つことになる。
実は初代のRS 3は日本への正式導入が行われず、初上陸したRS 3は2015年にセダンボディーを加えてローンチされた2代目モデルだった。2.5リッターの直列5気筒ターボ付き直噴エンジンに7段DCTを組み合わせ、4輪を駆動するというスペックは初代のそれを受け継いだが、最高出力は340PSから367PSへと向上。当然動力性能も高まり、初代の4.6秒と発表されていた0-100km/h加速タイムは4.3秒へと短縮された。
内外装にも専用のドレスアップが施され、さりげなく広げられた前後のフェンダーやシングルフレーム内のハニカムメッシュ、シルバーステッチが施されたナッパレザー採用のスポーツシートやピアノブラックまたはアルミ調の加飾パネルなどが、それまでのA3ファミリーで最上級のスポーツモデルとして設定されていた「S3」ともさらに一線を画す、より本格的で生粋のスポーツモデルたるポジションを示した。ただ、それでもいわゆる“羊の皮をかぶったオオカミ”と言うべきか“能あるタカは爪を隠す”と言うべきか、パッと見での印象は「ちょっとスポーティーに装ったA3」といった程度の仕上がりだった。
ところが、ちょっとした奥ゆかしさが感じられたそんな初期のRS 3に比べると、どこか吹っ切れたようなハードボイルドさも感じられるのが今回紹介する最新のRS 3である。2026年以降に発売するニューモデルはピュアEVのみとなり、2033年までにエンジン搭載車の生産を段階的に終了するなどと、フォルクスワーゲングループのなかにあっても“電動化の急先鋒(せんぽう)”と紹介できるアウディの作品だけに、純エンジンを搭載したモデルとしては“最後のRS 3”となる可能性が限りなく高そうである。...