閉店や撤退が相次ぐアパレル業界でも絶好調なのが、作業服ブランドのワークマン。
「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し、10期連続最高益を達成。ついに国内店舗数でユニクロを抜いた。
異例とも言える急成長にもかかわらず、残業しない、ノルマを課さない、期限を設けない、社員のストレスになることをしない、社内行事しない、極力出社しない、接客しない、競争しない、値引しない。とりわけ「頑張る」ことはしないどころか禁止! そう、「しない」ことだらけ! 急成長の秘密は、この型破りな「しない経営」にあったのだ。
その仕掛け人がワークマンの土屋哲雄専務。土屋氏の経営理論とノウハウがてんこもりの白熱の書『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』が大ブレイク中だ。
今回は、稀代のマーケター兼名経営者である土屋専務に、リーダーシップ論について伺った。(聞き手&構成・川代紗生/撮影・疋田千里/編集・寺田庸二)
社員に任せるのが真のリーダーである
──書籍の中で、「私の考えは、50%、間違っている」と常に社員に伝えていると書かれていました。「間違っている」と伝えても、リーダーシップを保ち、「この人についていこう」と思わせられる理由は何だと思いますか?
土屋哲雄(以下、土屋):多くの社員のやる気を引き出し、社員に任せるのが真のリーダーだと思っています。私は、全社員の前で話したことは8年間で6回しかありません。
私は人の知恵を取り入れていくので、はじめから断定的なことは言いたくないんです。
裏方で十分。「WHAT=何をやるか」は経営側が、「HOW=どうやるか」は現場が考えるべき。ワークマンで掲げている「何をやるか」の目標は、この6年間で「客層拡大」の一つだけ。これは時間がかかっても必ずやり遂げると決めています。
どうやるかは社員が現場で議論して、最終的には小さく実験して、結果がよければ標準化していく。社内の重要決定会議では、私が討議用の資料をつくることが多いですが、「私は、50%、間違っている」と言っておくと、部下は真剣になって修正案を出してくれます。
以前、テレビCMのシナリオにA案とB案の2つがあった。まず、私と広報部長と課長がA案の支持を表明。その後、広報部の担当者2人が根拠を示して反論した結果、そのままB案にひっくり返されたこともあるんです。
このとき、「いい会社になる」と思いましたね。...