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ドラマ復権へ? 2016年エンタメシーンの話題の中心はドラマだった

視聴率2ケタ超えが年間12本になった2016年。社会現象になった新垣結衣と星野源の“恋ダンス”『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)(C)TBS

 10月期ドラマで、米倉涼子主演『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)が最終回視聴率22.8%、全11話平均で21.5%という安定した高数値を記録した。ちなみに連ドラの平均視聴率20%超えは木村拓哉主演『HERO』(フジテレビ系)第2シーズン以来約2年ぶり。今期は『逃げるは恥だが役に立つ』(日本テレビ系)のドラマ出演者が踊る“恋ダンス”が社会現象とも言えるムーブメントになるなど、連ドラが世間の耳目を引きつけた。今年1年を振り返ってもエンタメシーンの話題の中心に“テレビドラマ”が顔をのぞかせた印象がある(視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)。

視聴率2桁超えは12本。大河ドラマや朝ドラも好調

  • 『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』

    『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(C)テレビ朝日

  • 『真田丸』第45回「完封」(C)NHK

    『真田丸』第45回「完封」(C)NHK

 今年全体をみると、平均20%超えの『ドクターX』、新垣結衣が当たり役を演じた『逃げ恥』をはじめ、視聴率2桁超えの民放連ドラが12本。ほか『真田丸』(NHK総合)は年間を通してことあるごとに話題となり、SNSでも名シーンに感動したり、小ネタを発見したユーザーたちによって、タイムラインは賑わいを見せた。またNHK朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)は全156話の期間平均が関東で23.5%で、2000年度後期『オードリー』以来、最高値を記録。続く『とと姉ちゃん』(同局)も、視聴率20%超を持続するなど好調を維持した。

 次にクールごとでみると、1月期の連ドラは草なぎ剛主演の刑事ドラマ『スペシャリスト』(テレビ朝日系)が平均12.67%、亀梨和也主演『怪盗 山猫』(日本テレビ系)は10.85%を記録。視聴率的に好調なドラマはあったものの、全体的に見れば“ドラマの話題がエンタメの中心”というほどではなかった。だが4月期、松本潤主演の弁護士ドラマ『99.9』(TBS系)が17.15%のスマッシュヒット。劇中に巧妙に隠された“小ネタ”も話題となり、トレジャーハンターのように“小ネタ”探しに躍起になった視聴者がSNSに多く散見されるようになる。

10月期が絶好調。年の後半に向けて盛り上がっていく展開に

「『99.9』は榮倉奈々さん演じる弁護士・立花彩乃の“プ女子”という設定を利用した細かなプロレスネタのほか、第4話のゲストキャラの菊池(板尾創路)の隣人に英徳学園(『花より男子』)の生徒がいたり、彼が酔いつぶれたバーの店名が『バーカボン』(『天才バカボン』)だったりと、探しきれないほどたくさん小ネタがありました。これによりSNSでは“小ネタ探し”が加熱。こうしたバズ効果が視聴率高値に貢献し、最終回は19.1%の最高値を記録しました。バズ効果で言えば『真田丸』もそうです。また前期の7月クールは、平均10%超えが北川景子主演『家売るオンナ』(日本テレビ系)、寺尾聰主演『仰げば尊し』(TBS系)、東山紀之主演『刑事7人』(テレビ朝日系)。なかでも『家売るオンナ』は、北川さんやキャスト陣の怪演がネタに。『外出する人が多いから視聴率が下がる』とまことしやかに言われる夏クールにあって平均11.59%は今の時代、大健闘と言えるでしょう」(テレビ誌ライター)

 そして今期。視聴率2桁超えは『ドクターX』、『逃げ恥』(14.58%)、石原さとみ主演『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(12.37%/日本テレビ系)、織田裕二主演『IQ246〜華麗なる事件簿』(10.66%/TBS系)、菅野美穂、松嶋菜々子出演『砂の塔〜知りすぎた隣人』(10.18%/同)と5本も登場。うち『ドクターX』と『逃げ恥』のバズは言わずもがな、『校閲ガール』では写真系SNSで写真への落書きをまるで校閲したかのように赤い文字で訂正する“#(ハッシュタグ)校閲ガール加工”が流行。『IQ246』では織田の怪演が何かと取り沙汰され、『砂の塔』でも脚本の妙に話題が集まり、それぞれがコアなファン層から支持を受けていた。

“ドラマ復権”に現実味。来期も話題作が多数

「こういった現象を見ると、後半に向けていい流れで盛り上がっているように思えます。近年、低視聴率やドラマ不況といったネガティブな言葉ばかりがネットを中心にあふれていますが、今年1年を振り返ると“ドラマ復権”という言葉が現実味を帯びてきているように思われます。“王道”ドラマへのニーズが改めて示され、一方で挑戦的な試みのドラマもネットを中心に話題になり、どちらも視聴者を惹きつけました。とくに今期は、タイムリーなテーマを取り上げることとともに、流行を生み出そうとする制作側のチャレンジングな姿勢も垣間見えた気がします。なんだかんだ言ってもドラマは、エンタメのメインストリーム。ドラマが盛り上がるとエンタメ界も盛り上がり、エンタメ界が盛り上がれば自然と素晴らしい作品が次々と世に送られるようになる。すると人々の生活にも楽しさや笑顔があふれていくはずです。世が楽しい雰囲気になるよう、この勢いを来年へと繋いでいって欲しいものです」(同ライター)

 来期に目を向けてみると、木村拓哉主演でなにかと話題の医療ドラマ『A LIFE 〜愛しき人〜』(TBS系)、ベストセラーの心理学本を刑事ドラマにアレンジした香里奈の復帰主演ドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系)、ラブホテルスタッフが恋愛指南をする本郷奏多主演『ラブホの上野さん』(フジテレビ系)、藤子・F・不二雄のSFコミック原作で、さえない中年男性がスーパーマンになる異色のドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)など話題作や野心作が続く。今年、エンタメシーンの話題の中心に返り咲いたかにも見えるテレビドラマ。来年はエンタメシーン“そのもの”を牽引していくことになるかもしれない。
(文:衣輪晋一)

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