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流行りモノ調査隊 流行りモノ調査隊
#070 今週の急上昇キーワード(更新日:2008/11/25)
『レコード盤』番外編
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急上昇の理由
 老舗レコードショップの「CISCO RECORDS」が倒産した。それに続くように、大型のレコードショップの閉店が相次いでいる。R&B、ヒップホップ、ハウスなどのダンスミュージックは、今や広く一般に浸透してきているともいえる。そして、それらの音楽にはDJが不可欠だ。DJといえば「レコード」を使って華麗にプレイするものだと思っていたが、なぜ音楽自体は廃れていないのに「レコード」を扱う店がなくなってきているのだろうか?早速、その疑問の調査を開始した。
今回の調査内容
ホントはどうなの!?レコード市場
さらに現役DJに聞いてみた
ポケットにも入る!?最新DJ機器!!
ホントはどうなの!?レコード市場
渋谷クラブミュージックショップ
渋谷クラブミュージックショップ
在庫CD 約6,000枚・レコード約20,000枚
新宿クラブミュージックショップ
新宿クラブミュージックショップ
在庫CD約2,000枚・レコード約3,000枚
御茶ノ水クラブミュージックショップ
御茶ノ水クラブミュージックショップ
在庫CD約2,000枚・レコード約8,000枚
 「実際、レコードの売り上げはどうなっているのか?」それを探るべく、大手CD・レコードショップのディスクユニオンに話を聞いた。応えてくれたのはテクノ・ハウス担当の島田さん。

――実際のところ、レコードの売り上げは減っていますか?減っているとしたら、その原因は何だと思いますか?

 レコードの売り上げのピークは90年代中ごろで、そこからみるとたしかに、年々右肩下がりに減少しています。しかし、その頃はいわばDJブームとも言える時代でだったので、そこから減るのはしょうがないことかなと思っています。

 減っている原因のひとつにはDJ機器の進化が上げられるでしょう。

 レコードを買う人の中にはDJをする人の存在が多くいたと思うのですが、30代くらいの人だとDJ=レコードというある種の固定観念が存在しています。しかし、若い世代(特に20代前半)はDJをやろうと思った時点で「CDJ」などレコードを使わない機器が存在していたので、そういった固定観念を持っていないのではないでしょうか。それでレコードを買わない層が増えているのかもしれません。

 しかし、海外に目を向けるとイギリスではレコードを見直す風潮も出てきていたりと、レコードの需要は下がっていません。ハウスに関しては、最近はJPOP寄りのアプローチをするミュージシャンが出てきたりと、広く一般へも浸透しつつありシーン自体が縮小しているという印象は持っていません。これからも残っていくジャンルだと思っています。


 どうやら、DJ機器の進化・DJスタイルの変化がレコード売り上げ減の要因のひとつといえそうだ。しかし認識的には、減ったというよりも増えすぎていたのが適正量に戻ったという感じなのかもしれない。

 昨今ではインターネット通販の売り上げも増えてきてはいるそうだが、ディスクユニオンでは店舗での売り上げが圧倒的だとか。それは中古レコードの販売を行っているというところが大きいようで、DJの人などはオンラインの試聴では時間が短すぎるので、店舗で実際に聞いてから買う人が多いんだとか。ディスクユニオンはそういったコアファンに支えられているので、今のところレコード販売にそれほど影響はないようだ。

<取材協力>
ディスクユニオン


 続いて話を聞いたのは、レコードを聞くために必要不可欠なレコード針を製造している、日本精機宝石工業さん。レコード針の売り上げはどうなのだろうか。

――「シスコ・レコード」の倒産などからわかるように、レコードの売り上げは減っている印象だが、レコード針の売り上げはどうなの?

 「シスコ・レコード」の倒産は、取引があっただけに非常に残念です。ただ、レコード針の売り上げに関しては減っているわけではなく、むしろ伸びています。海外からの需要が増えているのがその要因でしょう。海外ではレコード自体の売り上げもあまり変わっていないようですよ。


 やはり、ディスクユニオンの島田さんが言っていたのと同じように、海外ではレコード需要は変わっていないよう。国内でもあまり需要の低下は感じていないそうだ。しかしそれは、2200種類以上ともいう、製造している針の種類の豊富さが大きく影響していると思われる。それによりほとんどのカートリッジに対応できるそうで、レコードを愛用している人たちのニーズを逃さずに対応できているということだろう。

 「日本精機宝石工業」さんでは「レコード針修理サービス」なども行っていて、他社製の針でもすでに製造が終了している針でも、材料があれば修理が可能。さらに、近日中にはレコード針の通販サイトもオープンする予定ということで、顧客のロスを減らすことに余念はないようだ。

<取材協力>
日本精機宝石工業株式会社


 続いて、プロのDJにも話を聞くことができた。取材に応じてくれたのはTAKAYUKI SERINOさん(GAN-BAN)。GANBAN NIGHTのレジデントDJを務める氏からみたレコードの現状を聞いた。

――以前と比べてレコードの人気はいかがですか?

 2、3年前に比べればアナログの人気は落ちてきていると思います。
 海外のディストリビューターも倒産や合併などしていますし、特にダンスミュージックはデジタルの方向に向いてきているのが現状かも知れません。DJがデジタル音源をCDRに焼いてプレイする事が多くなっているのが、売れなくなった要因のひとつですね。
 ただ、今でも売れるタイトルはもちろんあります。

――今でも売れているタイトルというと、具体的にはどんな物でしょうか?

 売れているものは初回限定のものや、直接レーベルから卸してもらい日本では弊社限定で販売させてもらっているような、いずれもエクスクルーシヴな物です。

――レコード(アナログ盤)が売れなくなった原因は何だと思いますか?

 先にもあげましたが、ダンスミュージックはDJあってのシーンですので、そのDJが様々な理由によりCDでDJをすることが多くなってきていることだと思います。
 レコードは大きく重いがCDは小さくて場所も取りませんし、DJ機器の進歩により音質の問題もかなり解消され、よほどのこだわりがない方はCDやPCでのDJに変わってきています。
 またレコードやCDのリリースより先にデジタルでのダウンロード販売が始まってしまうのも大きな要因のひとつだと思います。

 なるほど、やはり実感としてレコードでプレイする人が減っていることは感じているようだ。それはやはりDJ機器の進化が大きな要因なのか。最後に、レコードにしかない魅力についても聞いてみた。

――レコードにしかない魅力とはなんだと思いますか?

 一番はCDでは表現出来ない独特の音質だと思います。もちろんそれはプレスや盤の厚さなどで音質は左右されてしまいますが。
 ジャケットが大きい所も理由のひとつに入るかも知れません。
 あとDJはレコードでやるものだ!といったこだわりがある方も結構いるようです。これはバンドでもDJでもそうですが、まずは形から入るという伝統みたいなものもありますので、CDでDJなんてダサイ、といった考え方の人もいるということですね。

<協力>
岩盤/GAN-BAN
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町14-5 渋谷パルコPART3 B1F
TEL&FAX 03-3477-5701
ONLINE SHOP "GREENonRED"
GAN-BAN NIGHT OFFICIAL WEB


 やはり、レコードが減少しているのは事実のようだ。レコードを購入する人の多くはDJをする人で、レコードを使わないDJ機器が増えてきているのが、その原因といえる。iPodに代表されるデジタル音楽プレーヤーの登場で、我々が音楽を聞く環境はここ数年で激変し、それに伴ってDJの現場でも変化が生じてきているのだろう。
 現在は便利な「デジタル」を取るか、こだわりの「アナログ=レコード」を取るかの2極化が進んでいるということのようだが、この先レコードは縮小していくことだろう。しかし、レコードにしか出せない音は存在するので、残っていって欲しいものである。
<関連リンク>
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